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2024/04/19 07:53 |
[Review] SAYURI

SAYURI女って、怖いぃぃぃっ!


というのが、一番最初の感想です。
誰かから聞いた話ですが、女性は男性に比べて『み』のつく感情が非常に強いんだ」そうです。
  『恨み』 『つらみ』 『妬み』 『嫉み』 …… etc.
普段の日常生活には表に出なくても、こと花街の世界になってしまうと、その感情が底知れない深みを増していって、時に人をとんでもない方向に陥れてしまいます。
自分が望んで踏み込んだのならまだしも、借金の肩代わりに売られたとあっては、たまらなく辛く苦しい世界だと思います。


個人的な見所は二つ。

一つ目は、『芸者』が醸し出す妖艶。特に、着物を着るときの首の後ろやうなじに、ロウソクの微かな明かりが照らされると、それだけでも背筋が凍るくらいそそられます。
主な登場人物の殆どが中国人女性だというのに、芸者としての細やかな動きや艶やかな空気は、日本人芸者も真っ青なほど。
もちろん、スクリーンの前で映される彼らの演技はプロだし、それ以前に、本当に芸者の事をちゃんと分かっている日本人以外の人間はいないはずだから、ほんの少しくらい偏狭がかった演技でも誤魔化せるのでは? と思いましたが、全然違う。彼女らは『芸者』そのものになっていました。日本人であるとか無いとか関係なく、ただ直向きに『芸者』としての役を演じている。プロの芸者から観れば、ところどころで「?」と感じる所作はあるかもしれないけれど、素人から観れば、正しく『芸者』そのものになっていたと思います。

二つ目は、恋をした時の空ろな表情。
芸者は恋が出来ない。物理的にではなく、永遠に許されない。故に自分の人生を選択する事が出来ない。芸者にとっての男とは、あくまでパトロン。自分の舞や歌といった芸を披露して、如何に多くの金を落とすかにかかっている。
だからこそ、自分の望んだ恋をして、それが叶わないと分かったときの空ろな表情は、逆に観るものを強く惹きつけました。
手の届くところに愛する者が居るのに、永遠に自分と結ばれることはない。それは自分の運命が物語っている。ほんの数刻の逢瀬を永遠の時間の流れのように感じながら、別れる恐怖を背後に感じながらの恋。どんなに高飛車で傍若無人に振舞う芸者でも、そのひと時だけは、自分の素顔を曝け出せるんじゃないかと考えます。


それはそうと。
さゆりの初主演となる舞が「曽根崎心中かよ!」と思ったのは言うまでも無く。
あと、日本庭園とかビミョーに不自然なところがいくつかあるのも、やはりアメリカ人の視点でよく分かんないところで美化されている賜物(賜物か?)ですね。。。

パンフレットのProduction Notesを見て、日本庭園や温泉のシーンのロケ地にビックリ。嗚呼、見るんじゃなかった…… orz

追記ですが、今回の映画を観て、渡辺謙とモーガン・フリーマンが何となくダブって見えました。
もちろん、性格とか芸風とかではなく。立ち振る舞いというか、立ち位置というか。

過去幾多のアカデミー賞で、助演男優賞を受賞、もしくはノミネートされたモーガン・フリーマン。彼の演技力はもとより、彼の立ち位置が物凄く絶妙で、時に主役を凌駕し、時に全ての役者を引き立たせます。
(僕はハリウッド映画俳優の中で、モーガン・フリーマンが一番好き)
今回の『SAYURI』を観て、渡辺謙もそんな感覚を受けました。

エースストライカーとして前線で活躍するよりも、アシストで絶妙な存在感をアピールする、と言いますか。

次の渡辺謙が出演するのは、若年性アルツハイマーを描く『明日の記憶』ですが、これは主演として登場します。もちろんそれにも期待しますが、個人的には、彼の今後として、『アシスト役』としての芸風を期待しています。

 



ちなみに、ロケ地は殆どがロサンゼルスだそうな。
まぁ、勿論、日本に的確な場所がなかった、と言われればそれまでなんですが。やっぱり、日本の地を選んでほしかったなー、と。そんなこと言い出せばきりがないか。「やっぱり『さゆり』役も、生粋の日本人にしろ!」って言いそうな気がして。

京都の伏見稲荷神社や清水寺は、見ての通り。
蒸気機関車のシーンは、静岡県多い側の鉄橋だって。
でもって、あとはほとんどがロサンゼルス…… orz
最初の荒波がよせる日本海のシーンは、北カリフォルニアのミュアビーチ、千代(さゆりの幼少時代の名前)がかつて住んでいたあばら家は、モスビーチにて。
温泉のシーンは、パサディナ近郊のデスカンソ・ガーデンズの野外温泉、内装はサラトガ市にあるハコネ・ガーデンだそうな。
その他、サンフランシスコのジャパニーズ・パビリオンで撮影されたそうです。

うん。やっぱりね。ちょっとガックリくるね。。。
殆どロサンゼルスで。日本の情景を、ロサンゼルスで。。。

日本人として、負けるわけにはっ!

 

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2005/12/23 23:05 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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