忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/03/19 11:16 |
[Review] 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船アレクサンドル・デュマの冒険活劇『三銃士』の映画化作品。これまでにも何度か映画化されていますが、それは17世紀のフランスやイギリスを出来る限り忠実に描写したもの。本作は、『ライラの冒険』よろしく、まるでパラレルワールドでもあるかのようなスペクタクルな世界観(勿論、『三銃士』そのものが架空であるのですが…)。単純に『三銃士』の物語をそのまま映像化したに囚われず、如何にそれをエンターテインメント作品に仕上げるか、というところに重点を置いた作品だと思います。中世ヨーロッパの世界観とは懸け離れていますが、懸け離れすぎているわけではないところも見所。有り得ないけれどもしかしたら有り得たかもしれないところが、本作の世界観の魅力、というところでしょうか。
また、そんなスペクタクルな世界観にプラスして、各キャラクターのアクションシーンの数々。特に、ミレディに扮するミラ・ジョヴォヴィッチが、アンヌ王妃の部屋に忍び込む時のシーンなんか、まんま『バイオハザード』じゃん! と見紛ってしまうくらい。しかし、それも敢えて狙って製作しているんでしょうね。勿論、リュシリュー枢機卿の護衛に対し己の腕と剣で戦う、ダルタニアンと三銃士のアクションも見逃せません。こちらも、妙に『300』と見紛うようなシーンの連続。やはり、エンターテインメント作品に仕上げるにはどんな要素も盛り込んじゃえ! 的な意気込みが窺えます。それが良いか悪いかについては別として(汗)。
それでも、全然カオスな作品にはなってないんですねぇ。若干、リュシリュー枢機卿が王と王妃を貶めようとする描写が、少し端折り気味なところがあるものの。
 
本作では、ミラ・ジョヴォヴィッチの他にオーランド・ブルームも登場しています。元々彼らが出演する作品も観ていまして、それもヒーロー・ヒロインとしての作品を観ていました。この映画の公開が発表された当初はそんな役柄なのかな、と思いきや、ミラ・ジョヴォヴィッチが扮するミレディは、二重スパイの性悪女。色んな男を手玉にとっては、騙しに騙し、自分の思う通りの手の内に、まるで駒のように進めていく。一方のオーランド・ブルームはフランスのルイ13世を見下すイギリスのバッキンガム伯爵を怪演。登場シーンとしてはそれほど多くないとはいえ、その悪役ぶりは、スクリーンからでもノリノリなのが窺えます。
 
ちなみに、本作は3D版も公開されており、勿論、そちらを鑑賞してもいいかと思います。でも、やはり本作も元々は2Dで作成し、その後の編集で3D化にした作品であるため、3D化した時の迫力においては、『アバター』や『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』よりは落ちるかもしれません(それでも個人的には、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』よりかはいいかと思いますが…)。

拍手

PR

2011/11/14 22:52 | Comments(1) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] ステキな金縛り
ステキな金縛りThat's Entertainmentの真骨頂、三谷幸喜監督の作品はやっぱり面白かった! というのが率直な感想です。「あー、面白い映画を観た!」という充足感は、(個人的にですが)『ザ・マジックアワー』以上だったかもしれません。

『デスノート』のような『名前を書くと死ぬノート』のように、『幽霊という見えない存在が裁判で証人台に立つ』という設定は、何ともベタな設定と思っていたのですが、それでも面白く、しかも筋道を立て、要所要所で盛り上げていくのも凄い。昨今、既出の漫画を題材にしたり、韓流をリメイクしたりなど、ドラマにオリジナリティが欠けていると実しやかに叫ばれていますが、見渡せばちゃんとあるじゃないですか! と言いたくなります。
 
本作では、メインキャラクターに、これまでの三谷監督作品では、あまり、またはほとんど見られなかった俳優さん達が起用されているように思います。その分、新鮮味があるように受け取りましたが。あ、西田敏行さんはもはや別格ですね。勿論、佐藤浩市さんや唐沢寿明さんなど、おなじみの顔がカメオで出演。ここらへんはもはや定番ということで。
割と真面目だったり、落ち着いたキャラクターを演じている印象を受ける、中井貴一さんや、市村正親さん、竹内結子さんも必見です。固定化された役柄という印象を打破し、コメディ作品でも光っていました。特に、中井貴一さんの、死んだ愛犬の幽霊があの世から(一時的ですが)現世に戻り、その愛犬とじゃれ合うシーンが一番印象的です。傍から見ればエアドッグ(笑)。幽霊が見えない人たちからすれば、「一体何やってんの?」的なところに、爆笑してしました。
勿論、幽霊が証言台に立つ、という作品ですから、大元の事件があるわけです。が、その事件のオチも秀逸。冷静に考えればこれほどあっさりした法廷闘争もない、とお思いでしょうが、そこに漕ぎつけるために、実在の人物も既に亡くなった人物もあの手この手で色んな策を練って法廷闘争に挑む、その過程が面白いんですね。
 
また、本作では、所々で三谷監督がフィーチャー映画作品の要素が盛り込まれているそうです。と言ってみたものの、それを細かく紹介できるほど私は映画に詳しくないですし、パンフレットを見て「ああ、なるほど!」と後付けで思ったクチですので、大声で通ぶっているように「実はこのシーンでこの映画が云々」とは申し上げられません。ですので、ここは、皆様ご自身、劇場でご確認下さい。
 
 
『ザ・有頂天ホテル』でも『ザ・マジックアワー』でも、ラストのシーンはこれまでの登場人物が(ほぼ)総出で、ラストらしく賑やかなシーンが繰り広げられますね。今作ではちょっとしっとりめ。全編が笑いに包まれていますので、ジンワリと来るラストかと思いますが、勿論、そこでも笑いの要素は欠かせません。
また、本作の主題歌は、深津絵里さんと西田敏行さんがユニット組み、KANさん、中井貴一さん、阿部寛さん、小林隆さんが『法廷ボーイズ』としてコーラスを担当しています。凄いきれいです。こちらも聞き漏れなさいませんよう!

拍手


2011/11/12 22:38 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] はやぶさ/HAYABUSA
はやぶさ/HAYABUSA小惑星探査機『はやぶさ』が、2010年6月に地球に帰ってきたニュース。日本だけでなく、世界中がその瞬間を固唾を飲んで見守っていました。月より遠い天体からサンプルリターンするという、前代未聞の偉業。その瞬間、『突飛もない理想』とか『夢物語』と揶揄された事業が、一つの『実績』となりました。
世界を席巻した『はやぶさ』プロジェクト。ニュースにも感動的に取り上げられたことから、方々な面で『映画化決定!』と言わしめられ、そして映画化になったのですが、
 
  主演:渡辺謙 監督:瀧本智行
  主演:竹内結子 監督:堤幸彦
 
え? 情報が錯綜してる? どっちが本当? もしかして偽の情報とかも飛び交ってるの?
 
しかし結果としていずれの情報も本当。それどころか、他にも『はやぶさ』を題材とした作品があったり。しかもリメイクでも何でもなく。ほぼ同時発表で、同じ題材の作品を2つも3つも公開する、というのは、極めて珍しい状況なんでしょう。それぞれの作品を見比べて、その作品がどのようなテーマを置いて製作されているのかを堪能するのも、面白いかもしれません。
 
 
『はやぶさ』プロジェクトの映画作品の第1弾とも言うべき、『はやぶさ/HAYABUSA』について。
本作の主人公である、竹内結子さんが演じる水沢恵は、架空の人物。天文物理を専攻しているものの、それが本当に自分が心からやりたいことなのかを見いだせず、ふとしたきっかけで『はやぶさ』プロジェクトに関わり、打ち上げから帰還までの一連に関わりながら、様々な研究者・スタッフと触れ合い、叱咤激励を受け、自分の本当の道を見出す、というストーリー。
というわけで、本作はどちらかというと、『はやぶさ』プロジェクトは話のタネで、満身創痍になりながらも無事帰還を成し遂げた『はやぶさ』を目の当たりにしながら、自分が成長の道を見出す、というのが主眼の物語です。
『話のタネ』と申しましたが、別に単なる物語を盛り上げるための道具に過ぎないわけではありません。『はやぶさ』もキャラクターの一つです。製作者の『想い』を、単に一方的に『はやぶさ』に託すだけでなく、何度も苦難の道を歩みながらも帰還のために奮闘した『はやぶさ』の姿に、それを製作した側の人間の方が『想い』を吹き込まれる。そういったことから、『はやぶさ』にも人格を持たせたのだと思います。
 
『人』対『モノ』という、一方的で支配従属的な関係ではなく、『人』対『人』のように、お互いが影響し合う、というのがこの作品のコンセプトなのでしょう。
だからなのかもしれませんが、『はやぶさ』プロジェクトの苦労話や成功秘話、チームの結束感、仕事としての充実感を作品から味わいたい、という視点では、少し物足りないのかもしれません。また、水沢恵は架空の人物。さらにその架空の人物が、『はやぶさ』プロジェクトに関わる博士課程の大学院生で、非常に行動な天文物理学を習得しているにも関わらず、彼女が登場する場面の多くが、広報に使用する絵や文章を書いたり、写真を撮ったりと、おおよそ科学者の行動っぽくないところが、拍子抜けするところではないかと(広報の仕事は勿論重要なのですが、『はやぶさ』の絵ばっかり描いてるシーンが連続するのはちょっと… というのが率直な感想)。
とはいえ、ボロボロの状態でも最後の力を振り絞って地球の姿を撮影し、大気圏に突入して燃え尽きる様は、やはり何度見ても感動ですね。
 
個人的には、JAXAの川口淳一郎さんは、本作の佐野史郎さんの方が合っている気がします。淡々としてそうで。渡辺謙さんも素晴らしい役を演じてくださると思うのですが、何せ顔が重厚すぎる…(汗)

拍手


2011/10/15 21:31 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] ライフ -いのちをつなぐ物語-
ライフ -いのちをつなぐ物語-生命とは、生きることとは     

連綿と続くこと。親から子へ、またその子へ。紡がれていく系譜。守り、慈しみ、共に歩む。
知恵と勇気を振り絞ること。立ち止まれば、たちまち捕食される。立ち止まれば、獲物を取り逃がす。未来への活力のために、出来る限りの力を懸命に出し尽くす。
時に残酷であること。甘い香りは獲物をおびき寄せるため。自分の子孫を残すための、勝ち残りを賭けた戦い。油断は己の身を破滅に追いやることもある。

そんな、微笑ましくて、優しくて、残酷で、厳しくて、でも気高く躍動感溢れる。そんな、何百万通りの物語が、これまで、今日も、そしてこれからも、地球上で綴られている。本作は、そんな作品です。


『デープ・ブルー』や『オーシャンズ』、『earth』など、ネイチャー系の作品はこれまでにも多く公開されております。これまでの作品は、地球上に生きる生き物の生態や行動を、ダイナミックに撮影したものが多かったと見受けられました。逆に(ちょっと穿った視点で)申し上げると、そのダイナミックな撮影が、生き物のダイナミックさを『感動の押し売り』のように感じられる部分もあります。生き物の生態や行動というのは、その全てが躍動感溢れるわけではありませんから。

その点で本作は、『懸命に生きる』ということを前面に打ち出した作品であると思います。生きるためには、食べること。食べるということは、獲物を狩るということ。狩られる方も生きたいから、懸命に逃げる。知恵を出し合い、出し抜き、巧みに攻め、巧みに躱し、巧みに操り、時に罠にはめる。それもまた、『懸命に生きる』が故。
同時に、『懸命に生きる』ことへの生命の本能は、繁殖すること。自分の遺伝子を、分身を、血を、後世まで持続していくこと。そのために、愛し、戦い、勝ち得、子供を産み、そして育てる。捕食だけではなく、繁殖でも、世界は弱肉強食。種として、より強い個を後々までに残していくために、今日も世界のどこかで仁義なき戦いが繰り広げられる。一見、美しい舞いやほのぼのとした様子も、戦いや駆け引きの一つ。決して、人間の世界だけのシステムではないことを知らされる瞬間です。


そんな作品だからなのかもしれませんが、他のネイチャー作品と比較して、音楽面でも同じことが言えるのではと思いますが、割と淡々としており、ダイナミックさはそれほど感じられません。その代り、動物の視点で、目線で、マクロの撮影が多用されています。特に、虫のドアップや捕食のシーンが多くありますので、苦手な方はご用心を。
また、日本版として、ナレーションに、松本幸四郎、松たか子親子が起用されているのも、『生命の連綿とした系譜』をテーマとしているからなのかもしれません。こと、ネイチャー系の映画は、人間の所業に対する反省と持続可能な世界の形成を、さも黙示録の流布のごとく説かれていることがありますが、思ったほど説教臭くなかったと思いました。淡々としていますが、両者とも柔らかな口調と声ですし、個人的には好きです。
少々、お子様には残酷なシーンもありますが、人間以外の生物の、動物園では見られない懸命に生きる姿を観る上では、格好の題材ではないかと思います。

拍手


2011/09/01 22:26 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] コクリコ坂から
鑑賞の コクリコ坂から前半は、本当に「何でこんな作品を選んじゃったんだろう…」と思ってしまいました。
時代は高度経済成長真っ只中。翌年に東京オリンピックを控え、どこかまだ『戦後』という時代背景の情感を漂わせつつも、徐々に徐々に、近代化へと進みつつある世界。
と、それはそれでいいものの、問題はその世界を舞台にした主人公達のバックグラウンドの説明の無さ。観客は、さもその主人公の取り巻く世界は既に知っているかのように、前触れも無く放り込まれる。主人公達の交友関係、親子関係、学校生活、そこで起こっている問題。例えば、『カルチェラタン』が最初何を意味しているのか分からず、物語の途中でその意味がはっきりと分かったものの、何もかもが唐突過ぎて、理解する間も与えず次から次へとシーンは続き…

しかし、物語が進むにつれて、この作品は「理解する」作品ではないことに気づきました。この作品は、「感じる」ための作品であると。これは、高校に通う普通の男女の青春の物語。鑑賞者によっては、既に過ぎ去った遠い出来事。まだの人は、これから訪れる出来事。単純に恋愛一辺倒ではなく、平凡で、どこにでもいそうで、未熟だらけの学生達でも、力を合わせれば何かを成し遂げられる、たとえそれが、国を救うとか世界を救うとか、そんなものから程遠くても、彼等の心の中で、人生の中で、キラリと光る青春。
どんなにモノが豊かになっても進歩しても、人間の根幹と言うものは、そんなに容易く変わらない。この物語の世界観は、単に学生達の青春にちょっとスパイスを加えただけ。覚える必要も、理解する必要も無い。変わりゆく世界の中で、それでも変わらずにいる真実。ただ、彼等の生きたその道筋を、感じてもらえればいい、そんな想いが込められている作品のように思います。
ある意味ストレートではなくて、回りくどい描写だと思いますが。決して万人に受ける為の作品ではないと思います。むしろ、そんな商業主義的な作品はこの世にごまんとあるから、わざわざその潮流に乗って自分達もそんな作品を作ろうとはしない。作る必要も無い。自分達が描きたいものを、描きたい通りに描く。そんな作品。

そんなわけで、この作品はきっと好き嫌いがはっきりと分かれる作品ではないかと思いますが、僕は好きです。むしろ、物語の後半があるからこそ、前半の、はっきり言ってしまえば『つまらなさ』『平凡さ』に血が通うわけだし、後半だけであれば、ただ単に高校生活の一種の変化だけを綴っただけ。前半と後半の絶妙なバランスがあるからこそ、作品の『伝えたいこと』が成り立っているのではいか、と思います。


お父上が宮崎駿氏である、宮崎吾朗氏の二作目の監督作品。
前作『ゲド戦記』は大変な酷評で、原作者からも厳しい意見が出されたという曰くつきの作品なのですが、僕個人としては好きです。ただ、『ゲド戦記』というタイトルを冠してしまったのがいけなかったのではないかと。
偉大すぎる父親からの脱却と、それでもどこかで父親に依存したい気持ち。強力な環境が周囲にあり、今にも自分の存在が消え入りそうな中で、如何に自己という存在を確立していくか、もがき苦しむ、というメッセージ性が感じられました。もし、吾朗氏のオリジナルの作品であれば、それほどの酷評は無かったと思うのですが。あれほど「二世には才能が無い」なんて心無い発言が飛び交いつつも、これまでアニメどころか映画の世界にも踏み込んだことの無い彼が、一つの作品を世に出したのですから。
『コクリコ坂から』は、お世辞にも大衆受けしない作品。芸術家のエゴイストと、お客さんがそれを共有できなければ成り立たない、薄氷を踏むかのごとく、の作品。その作品を作りながら、『スタジオジブリ』としてのブランドとプライドを保ち、且つ食べていく、というのは、並大抵のことではないでしょう。映画のバックボーンを理解しながら鑑賞するのも、一つのスタイルですし大事なことですが、何よりも『感じる』ことに重点を置いた今作。今後は、どんな作品を展開していくのでしょうか……

拍手


2011/07/17 11:46 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

| HOME | 次のページ>>
忍者ブログ[PR]