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2017/07/21 15:41 |
[Review] 麦の穂をゆらす風
麦の穂をゆらす風人の想いの強さは、やがて国をも動かす。
けれど。
その想いは、必ず誰かを幸せにすれば、不幸にもする。
人が人の想いを、『力』として表現し続ける限り、必ず誰かを傷つけ、必ず誰かを苦しめる。人が人であり続ける限り、抱き続ける想いの分だけ、自らの手を血に染める。
それが、自らの血を分かつものでさえ     


この映画に登場する人物は、決して時の英雄ではなく、また、歴史書に名を刻む者達ではありません。一人では何も出来ない市民達。『国』や『戦争』という、得体の知れない大きな力に捩じ伏せられれ、蹂躙され、理不尽な毎日を過ごす市民達。
でも、彼らの持つ『アイルランド人』としての誇りと、『自由なアイルランドへ』の想いは、何よりも強く、何よりも大きいものでした。決して彼等だけで勝利を勝ち得たわけではありません。が、それでも彼らの自由を願う強い想いは、彼らの望むままの未来を築く一端になったに違いありません。

しかし。
それでも、完全な自由は決して得られたわけじゃない。
未だ縛られ続けられる彼らの想いは、やがて歪みを生じていきます。
何のために戦ったのか。
迷走するままに、彼らは再び『力』を以って『力』に対抗し、『血』を以って『血』に対抗する。

辛く、苦しく、そして悲しい惨劇。本当の『喜び』を唯の一度も味わうことなく、自らを不幸に導き、そして誰かを不幸に陥れる。


この映画は、ただの戦争映画ではなく、また単に「戦争は、人を傷つけることは良くない」といったことを声高に語っている映画ではありません。
想いの強さを『力』に還元してしまったことが、悲劇と不幸を紡ぎ、そして今も尚紡ぎ続けている物語です。ふと横を見れば、テレビに放映される数々の惨劇。理不尽な『力』によって、本来得られるはずであった『幸せ』を、無残に散らされてしまった光景が、眼に焼きついて離れません。

一体、『力』というのは何なのか。行使することが『悪』なのか。それとも、『力』そのものが悪なのか。
普段の生活から、何気ないところで使われている『力』と言う言葉。『力』という御業。
それによって、人は心を奪われ、時としてその想いは歪められ、同族でありながら僅かばかりの差異に対し優越感に浸りたいがために、『力』を行使する。

人の『想い』と『力』は、相反するものなのか。
否。
本来ならば、それは表裏一体の存在のはず。ならば何故『力』によって人は苦しみ続けるのか。
それは、自己の『満足』のために、『力』を行使するから。

確かに、この世の人間全員が幸せになれる『術』や『力』は存在しません。
ですが、ほんの少しでも多くの人を幸せにするために、『術』や『力』は存在するはず。
過ちに満ちた過去を振り返って、もう一度立ち返ってみるのもいいかもしれません。本当の『強さ』と、本当の『力』とは、一体何なのか。
そして、国を守りたい『想い』のために、その『力』をどう行使するのか、を。

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2006/11/24 00:57 | Comments(3) | TrackBack(2) | Review - Movie

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 『愛するものを 奪われる悲劇を、 なぜ人は 繰り返すのだろう。』  コチラの「麦の穂をゆらす風」は、1920年アイルランド激動の歴史と運命に翻弄され、愛する人々との絆が引き裂かれる悲劇を名匠ケン・ローチが圧巻のスケールで描き、2006年カンヌ映画祭では審査員....
☆彡映画鑑賞日記☆彡| 2009/05/10 20:36
1920年、アイルランド南部の町・コーク。 イギリスからの独立を求めて若者たちは銃を取る。 2006年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞「麦の穂をゆらす風」。
三毛猫《sannkeneko》の飼い主の日常| 2006/11/26 21:24

コメント

D15と申します。もみじテンプレートをご利用いただいているサイトということで、shinobi.jpよりやってまいりました。はじめまして・・・なんですけど、実は以前からちょくちょく覗いてはいたのです。ごあいさつが遅くなり、なんとなーく、書き込むタイミングを逃してしまいました。。。

僕は映画が大好きで、昔は毎週末には決まって映画を見に行ってたのですが、、、最近は諸々どうも忙しくってぱったり見なくなってしまいました。見たい映画はもうネットで評価を調べたうえで厳選して見に行きます もっと、ここのサイトを早く知っていたら有効活用したのにっ!

映画の記事だけじゃなく、いつもCyberさんの力強いコメントにうんうんとうなずきながら読んでおりまーす。

ということで、長くなりましたが・・・。失礼いたします。
(さっきコメント送信失敗しました。コメントが重複してたらごめんなさい
posted by D15URLat 2006/11/25 11:27 [ コメントを修正する ]
Re:はじめまして
D51さん。ご来訪・コメント有難うございます。
実は予てよりD51さんの共有テンプレートを使用しておりました。空バージョンと貝殻バージョンも持っております。色々とテンプレートを吟味した結果、D51さんのテンプレートが一番使いやすいですので。
ただ、貝殻テンプレートは、記事本分枠の下のラインが表示されません。無くても特に乱れ等は無いので大丈夫ですが、どうやったら表示されるのでしょうか…

閑話休題。
映画は忙しいときですとほとんど観る機会が無いのですが、やはり話題作となると是が非にでもスケジュールを合わせて観てしまいます。稚拙な文章ばかりですが、参考になっていただけると有難いです。
また、私如きのブログなど役に立つとは程遠いと思っていますが、それでも、力強いと仰ってくださって、非常に励みになります。

今後も色々と思うことを書いていきますが、是非御贔屓いただければと思います。有難うございました。


追伸。
実は、少し前におびただしい数のスパムのコメント・TBが舞い込んできまして、今でも後を絶たない状態ですので、暫く管理者権限でコメント・TBを表示するようにしております。ご迷惑をおかけしております。
2006/11/26 14:47
使いやすいといっていただけると嬉しゅうございます。基本的にテンプレートは自分のために作っているのですが(笑) 作ったものを1人で使うより折角テンプレート共有機能があることだし興味がある方にちょっとでもご奉仕できればと思っております。また、これでコミュニケーションの輪が広がっていけばいいなーと思っております。

ところで、ところで!!

貝殻テンプレートでラインが表示されていない!とのご指摘ありがとうございます。ただ、一通りラインが消えてしまっているところや画像の乱れをチェックして回ったんですが、僕の環境ではラインが消えてしまっているようなところは発見できませんでした・・・。申し訳ないんですが、もうちょっと詳しくどこの部分が消えているのか教えてもらえますか?
(すいません、「麦の穂をゆらす風」と全然関係ないトピになってしまって、、、ご迷惑でしたら、僕のブログに返事をくださっても結構です。僕のほうは特にどの記事にコメントしてもかまいませんので)

先日のコメントの書き込みはやっぱり二重投函になってたんですね。。。すみません。気をつけます。

追記(2006/11/30):
はいはい。確かに下線が消えるのが確認できました。修正版をアップロードしたので、2,3日後、テンプレートを再度ダウンロードしてみてください。(直っているとよいんですが。。。)
posted by D15URLat 2006/11/28 00:32 [ コメントを修正する ]
修正版が、公開されたようですので、DLしてみてください。

なおっているといいんですが・・・。
posted by D15URLat 2006/12/02 09:20 [ コメントを修正する ]
Re:公開されたようです
いつも本っ当にお世話になっています!
早速DLしたところ、無事! コメント欄の下のラインが表示されるようになっていました!

すみません、こんな細かいことのためにお時間を割いていただきまして……

今後も宜しくお願いします!

>修正版が、公開されたようですので、DLしてみてください。
>
>なおっているといいんですが・・・。
2006/12/07 07:50

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