忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/04/20 21:56 |
[Review] トゥモロー・ワールド
トゥモロー・ワールド漫画家・冨樫義博の作品『LEVEL E』(←実は富樫漫画で一番好きな作品)の中で、ある宇宙人と性交をすると、その宇宙人に内在するウィルスが散布され、地球人の生殖能力の一切が奪われ、数世代のうちに地球人は絶滅する、なんていう物語がありましたね。
漫画の世界ですので、未然に阻止され、その後も地球人としての人間社会が営まれるわけですが。

ただ、漫画の世界とは違い、現実はもはや『架空の世界』とは言っていられません。
方や日頃のストレスの鬱積により、発散の対象となった子供が死ぬ。一方で医療も食料も何一つ満足に与えられず、生きたいという強い意志も虚しく息絶える。
『本当』に起こり得る未来。それも、原因不明の病原体とかそんな生易しいもの以上に、大人たちの都合と身勝手な自己満足によって。

そして、何年経てようやく待望の子供が生まれたとしても、それでも人間は変わらず愚かな過ちを繰り返していくのだろうか。新しい生命の誕生を純粋に喜ぶことをせず、自分たちの主権を獲得するために、政争の具にするために子供を扱うのだろうか。
新たな生命の『幸せ』すら、一切排除された世界。それでは、神が人間を見放すのも、当然の事かもしれません。


近未来のSF映画というカテゴリーですが、舞台となるロンドンは現在と全くと言っていいほど変わっていません。広告媒体とかが動画になって、若干SFチックさを醸し出していますが、現在から20年の時を経ているにも関わらず『変わっていない街並み』を描写するのは、人間の『停滞』をまざまざと表現していると感じました。
何も変わっていない人間。欲望を満たすだけの身勝手さも、過去を反省し未来に活かさない愚かさも。変わったのは一つだけ。「子供が生まれなくなった」。
まるで、本当に神の怒りを受けたかのように、未来に何も感じなくなった世界。そんな世界に生まれた待望の子供は、一体、何を見、何を感じ、何を糧として生きていけばいいのでしょうか。

P.D.ジェイムズのミステリー小説『人類の子供たち(The Children of Men)』を題材にした、正しく現代に生きる『大人たちの責任』を警鐘する映画です。漫画と同じく、この映画もフィクションです。が、それでも顔を背ける事は出来ません。
本当に起こるかもしれない現状を見れば、それは当然の事かもしれません。

拍手

PR

2006/11/21 01:57 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<[Review] 麦の穂をゆらす風 | HOME | [Review] 手紙>>
忍者ブログ[PR]