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2024/11/22 06:56 |
[Review] 相棒 -劇場版-
相棒 -劇場版-言わずと知れた人気ドラマ『相棒』の映画化作品。
刑事ドラマというと、法規を逸した行動力を発揮する熱血刑事ものだったり、力は衰えても熟達した知恵と推理力を揮わせたり、更には「本当に刑事?」というようなキャラクターが活躍したり。『24』でも同じようなものですが、洋の東西を問わず刑事ドラマというのは、そういったいそうでいないキャラクターによる活劇が人気を博しているのですね。
刑事ドラマの映画作品といえば、日本でも数多く公開されています。中でも人気の作品といえば、『踊る大捜査線』とか『あぶない刑事』でしょうか。刑事ではないですけれど、検事ものでいえば『HERO』とか。映画が公開されるや否や、僕の周囲でもその話題に持ちっきり。特に『踊る大捜査線』では、登場人物からスピンアウトした作品までありますし。しかしそれですらあまり琴線に触れなかった僕。「微妙に非国民」とか言われたり…… orz

それなのに『相棒 -劇場版-』は観てしまいました。ドラマも見ます。仕事の関係もあって毎回ではないですけれど。
何と言ってもまず、バランスのよさでしょうか。単に熱血一筋の刑事が諸所奔走するだけではない。単に頭脳明晰の刑事が沈着に事件を解明するだけでもない。それだけのキャラクターでしたら、既に数多くのドラマで既出ですので、これほどまでの人気は博さなかったでしょう。全く正反対と言っても過言ではない2人の刑事が出演して、しかも手を取り合って互いに協力しようというわけでもなく、お互いがお互いの個性と持ち味のままに行動するのに、妙に息が合う。そんなところがこの作品の魅力なのかもしれません。
まぁ、勿論個性を通り越した性格というのも一つの持ち味なのかもしれませんけれど。ネジがどこか飛んじゃってるような亀山刑事と、ネジが余計に締まりすぎてるような杉下刑事。ただでさえ扱いづらいのに、それでも妙に息があるコンビネーション。期待を裏切らない展開でありつつも、時には大きく期待を裏切る展開。人気の理由は、ここにもあるのかもしれません。


そして映画に関しても、頭脳戦と体力戦を交互に演出した、緩急のリズムがある面白い作品であると思います。これもまた、『相棒』の作品としての魅力の一つでしょうか。緊張感たっぷりのアクションシーンが絶えず続くわけでもなく、ずっとデスクやパソコンに睨めっこで机上で推理を展開するわけでもなく。
また、設定としては大げさながらも、単に刑事ドラマの枠には留まらない、多彩で且つ難問だけれども理解しやすい仕掛けが多く散りばめられており、鑑賞しているこちら側も、思わず推理しながら観てしまいました。「推理する時間と余裕が与えられる」というのもいいですね。大抵の刑事ドラマは、推理する余裕も与えず単に展開ばかりが進みがちですが。まぁ小説や漫画と違って、後戻りできませんから。
難を申し上げれば、ほんの数人が仕掛ける犯行としては、いささかスケールが大きいのでは、ということ。用意周到な上に、一つ一つの仕掛けが割と大きいので、最初は単独犯ではなく数人の犯行グループだと思ってしまいました。次に、もうちょっと警察らしく先読みして欲しかったということ。まぁ作品の展開上それは難しいかもしれません(汗)。あまりに先読みしすぎれば、それだけで興醒めしてしまうこともありますし。


2人の特殊な人物の活躍と同じように、この作品に注目すべきなのは、政財界の魑魅魍魎の多さ。これは、何も作品の中だけでなく、現実の世界でも同じことです。言うまでも無いことですが。そしてその魑魅魍魎は、僕を含めた人間全員の中にも潜んでいる、ということ。
特に日本人はそうでしょう。身近に戦争がないからこそ。テレビ等で報道される戦争を他人事のように見ているからこそ。誰かを助けたいという淀みの無い純粋な心ですら、魑魅魍魎の前では無惨にも穢されていく。
コナン君を非難しているわけではないんですけれど、僕は『真実』は一つとは限らないと思います。勿論『事実』は一つですけれど。その事実を元に、人が考え、その事実をどう捉えるか、というのが、『真実』ではないかと思います。
例えば、純粋に刃物の扱いを取り違えて人を刺し殺してしまった。『殺人を犯した』のは紛れも無く事実。でも、殺意は全く無かったのは真実。そして、たとえ殺意が無くても遺族にしてみれば大切な人を被害者を殺されてしまったのもまた真実。

大切なのは、誰かがそう言ったから私もそう言う、のではなく、『自分自身』としてどう言うのか、どう考え、どう行動に出るのか、ということ。『自分自身』として最善を尽くすこと。2人の刑事の行動は、観る者にそう問いかけているように思えました。

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2008/05/03 23:15 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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