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2024/04/27 02:26 |
[Review] 戦場のアリア
戦場のアリア時は1914年12月24日。第一次世界大戦の真っ只中のフランス北部。


相対するスコットランド(イギリス)軍、フランス軍、ドイツ軍の陣営の中間にある無人地帯では、今日も銃声と爆撃が轟いていた。


年に一度のクリスマス・イブ。『家族に会いたい』というささやかな願いすら聞き入れることができない過酷な戦況。


各陣営の兵士たちだけでも、ほんのひと時のクリスマスを祝おうとしたその時、高く低く、冬の凍てつく透き通った空気を包み込むように、テノールの歌声が響く。


血と泥にまみれた肌。凄惨な戦況のみを目の当たりにした荒んだ眼。死臭と硝煙の匂いに充満した戦地。何もかもの『感覚』を失いかけていた戦士たちに与えられた、それは神の祝福とも言うべき調。
しかもその歌声の主が、昨日まで殺し合い、もしかしたら明日自分が命を奪っているかもしれない、敵国のテノール歌手だったとは。


銃声と爆撃の音に満ちた世界は、今宵、音楽と歌声に満ち溢れる     





戦場に響く、至福の境地とも言うべき歌声。
『戦場のピアニスト』とはまた別の、『音楽』によって戦争という荒んだ世界の人々の心に希望を満たす物語です。さすがにこの映画は、何よりも『音』に焦点を当てていますので、余計なBGM等はなく、本当に素のままの、歌声だけを響き渡らせています。それがより周囲の『静寂』を深く広く浮きぼらせて、観ているこちらとしても、背筋が凍るくらいの感銘を受けました。

この物語は史実を元に作られたものなので、第一次世界大戦中、クリスマス休戦として、至る所でスコットランド軍、フランス軍、ドイツ軍の交流が成されていたそうです。
しかし、やはり戦争は戦争。上層部がその行為を許すはずが無く、夢が覚めれば銃を向き合う敵同士。また、敵国との交流は反逆罪として、ことごとく地方に追いやられたケースもあるそうです。
でも、彼らにしてみれば、この一夜限りの聖夜は、きっと忘れられないものとなるでしょう。
痛みも、辛さも、何もかも忘れることができて、本当に自分にとって、何が一番大切なのか、再確認することができたのですから。
ダイアン・クルーガーとベンノ・フユルマンが歌っているシーンは、明らかに口パクじゃねぇかっ! でしたが、一応それはパンフレットでも掲載しているんですねぇ…
ちゃんと、プロのソプラノ歌手とテノール歌手が歌っています。

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2006/05/10 23:11 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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