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2017/10/21 01:01 |
[Review] 愛の流刑地

愛の流刑地男の望みは、愛する女と共に生命が果てるまで生きることだった。
女の望みは、愛する男の手にかかって死ぬことだった。

この世の全てを、自分の人生さえ引き換えにしても構わないくらい愛した人に、「私を殺して」と言われたら、貴方はどうしますか     


惜しくもアカデミー作品賞を逃したものの、数え切れないほどの賞を受賞した『ブロークバック・マウンテン』。共に妻子がおり、しかも同性という間柄であるにもかかわらず、互いに愛し合ってしまう。「禁断で、且つ社会的にも宗教的(特にキリスト教)にも決して相容れることが無い」物語が辛く切なかったのを記憶しています。でも、同性であろうとなかろうと結局は不倫の物語であり、私は受け入れることはできなかった、という意見も方々から聞きます。
十人居れば十人の意見がありますし、僕自身その人個人個人の感受性をとやかく言う立場ではありません。『不倫の果てに愛人を殺害』なんていう事件も割りと新聞等に掲載されていると、まるで他人事のように、やれ「殺された女が悪い」だの「殺した男が悪い」だの冷めた目線で事件を自分なりに分析します。


が。
もし自分が『当事者』だったら、どうしていたか?

相手には夫が居る。子供も居る。何不自由ない幸せな家庭と生活が、その人にはある。
その人を、まるで魂が焦がれていたかのように愛してしまったら? 今後一切誰の手にも目にすらも触れさせないくらい愛してしまったら?

きっと、もう戻れない。知らなかった頃には。
この映画には、言葉で言い表せないような『狂気』が散りばめられています。


映画『手紙』でもありましたが、人を殺してしまった罪に対する罰は、何も殺人犯が被害者を殺めただけの分ではなく、被害者の家族の辛さや苦しみ、そして「殺人者と近しいもの」として殺人者の家族が被る罰も背負うことになります。
愛する人がたとえ「殺して」と懇願しても、手にかければ立派な殺人者。人を殺せば、殺しただけの重圧が両肩に圧し掛かる。それを知っていても、愛する人を殺すだけの覚悟は、並大抵の精神力では持つことは出来ない。


けれど、殺人を奨励するわけでは全くありませんが、「愛しているから殺されたい」「愛しているから殺す覚悟ができている」と思えるほどの相手にめぐり合えた、というのは、本当に幸せなんでしょうね。まぁ、『本当の幸せ』なんて、他人がとやかく言うものではありません。『本当の幸せ』というのは、その人にしか分からないのですから。

それにしても、神は時として死よりも残酷な運命を人間に与えます。

   「最初の女にはなれなかったけど、最後の女になりたかったのよ

これは、長谷川京子が扮する織部検事の言。

もし、寺島しのぶが扮する入江冬香が、豊川悦司が扮する村尾菊治に『最初に』結ばれていたら。きっと誰も悲しまなかったかもしれない。誰も不幸にならなかったかもしれない。

そして、二人が逢瀬を繰り返してやがて惹かれあうとしても、「互いの家族のために、一線は踏み込まない」という選択もできた。けれど、二人は「踏み越えてしまう」ことを選んだ。
たとえ周囲が認めなくても、不幸になっても、それを二人が認識しても。

客観的に見れば、周囲のことを省みない、自己の満足感を満たすだけの行為、と思う人もいるでしょう。でも、人は時として周囲のことを振り払ってしまうほどに熱を帯びるときもある。
全てを引き換えにしてでも得たいもの。それは、暗に「みんなが幸せになれる選択肢なんか、どこにもない」ことを示しています。


それこそが、神が与えた残酷な運命。
自らの幸せを選べば、誰かが傷つき、不幸になる。
周囲の幸せを優先させれば、きっと終生癒えることの無い傷を背負うことになる。

『究極の愛』というより、『究極の選択』と言った方が、近いのではないのでしょうか。

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2007/01/13 23:52 | Comments(0) | TrackBack(16) | Review - Movie

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