人間というのは。
一度何かの欲や快楽を覚えると、それに慣れてしまい、それ以上の欲や快楽を求めてしまいます。もっと、もっと。今よりもずっといい欲求を。
けれど、世の中全ての人間が同じように『前以上の欲求』を満たすことなんて有り得なくて。勿論、努力精進の末勝ち取れる人もいるし、たまたま運良くその欲求が舞い込んでくることもあるけれども、大多数の人が、現実を目の前に打ちのめされて。
「オレはなんて不幸な人間なんだ……」
「いつまでたっても私は独りぼっち……」
でもね。
よーく眼を凝らして、周りを見てご覧。
本当に貴方は独りぼっち? この世の人間全てが貴方に冷たかった?
誰一人、貴方に手を差し伸べる人はいなかった?
今まで享受してきた幸せに慣れてしまって、より良い幸せを求めようとしても、結局得たいものは得られず、自分が不幸のどん底に陥っていると思ってしまう。でも、少なくとも、今まで何らかの形で『幸せ』を享受してきたんでしょう? 確かにもう慣れてしまって、幸せ度も低くなっているかもしれないけれど、でも、少なくとも『不幸ではなかった』んでしょう?
不幸と感じてしまう時ほど、人間というのは『自分』を見失ってしまうのかもしれません。
だからこそ、不幸だと感じてしまった時は、一度立ち止まって、迷ってり戸惑ったりしたもいいから、もう一度自分の周りをよーく確かめるチャンスなのかもしれません。
この映画って、コミカルで観ようによってはすごいオフザケ系の映画ですが、ある意味、今自殺を考えようとしている人に対するメッセージも込められているんじゃないかと、割と真剣に考えてしまいました。
この、『シカゴ』を彷彿させるようなテイストの映画。
ロブ・マーシャル監督がリメイクしたら、何気に観てみたいなー、と思いました。