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2024/11/22 18:37 |
[Review] 大いなる陰謀
大いなる陰謀邦題『大いなる陰謀』のイメージから随分とかけ離れた作品。政治家が発案した、軍事上大きな意味を持つ作戦は、別に裏で何らかの陰謀や駆け引きがあったわけではなく、『強いアメリカ』を再び世界に植えつけるための作戦に過ぎない。
どんな手を使ってでも、何よりもまずは勝利を」。そのために何十人何百人の屍が積み上がろうとも、争いを無くし平和な世界を作ろうとする若者の崇高なる意思を踏み躙っても、掴み取らなければならない『勝利』。

第二次世界大戦でさえ、5年で終結した。今のイラク戦争は、6年経った今でも、解決の糸口は見えていない

そう言わしめてしまえるのは、単にアメリカが弱いからではない。いくつもの間違いを犯してきたからだ。そして、対抗勢力もこれまでにない知恵と戦力を持ち始めている。誰も制御できない闇の取引が横行している所為で。しかしそれも、自由と権利を主張するが故。人を傷付けて、人を殺して勝ち得る自由と権利など、それこそ既に歪んでいるけれども。

もはや完全な正義、完全な悪は、この世に存在しないのかもしれない。正義と悪が混在し、カオスと化した世界。そんな中で、戦う意義はあるのか。戦う意味はあるのか。それでも、決断し、行動に出なければ、何も変わらない。何も変えることが出来ない。
この作品は、進んで『何か』を提供しようとするものではないと思う。ハッピーエンドも存在しない。強いて言えばバッドエンドだろうか。しかし、そう捉えろと促しているわけでもない。『決断』と『行動』の選択肢の岐路に立つ最中で、人は何を見、何をしようとし、何を考えているのか。政治家、ジャーナリスト、大学教授、学生。それぞれ立場は違う。考え方も違う。もしかしたら交わりさえ一生無いかもしれない。それでも、自らが自らとして生きるためのに、何かを『決断』し『行動』に移すということは、全員が同じように与えられた試練であり、そしてチャンスでもある。


作品の解釈はひとそれぞれだが、僕は一種の三竦みの構図であると感じた。
今の腐敗した政体を嘲笑う学生。しかし裕福な環境に入り浸り、努力の末勝ち得た他の学生の方が、将来性があると言わしめられる。
努力と苦労を積み重ねてきたからこそ、裕福な学生には無い輝きを持つ学生。しかし、志願した兵役でさえ、その志は上からの指令で脆くも崩れ去る。
全ての上に立ち、あらゆる権限を誇り指揮できる政治家。しかし今の腐敗した世の中、どんなに潔癖な政策でも、一般人の嘲笑の対象となる。

どんな立場でも、絶対は無い。誰かの、何かの上に立つ役目になれたとしても、必ず押さえつける存在がある。世の中の人間関係とは、得てしてそんな堂々巡りなのかもしれない。


第26代アメリカ大統領、セオドア・ルーズベルトの言葉。

「正義と平和のいずれを選ぶかと問われたら、私は迷わず正義を選ぶ」

貴方は、どちらを選ぶのか。

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2008/04/27 00:53 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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