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2024/11/23 04:25 |
[Review] 主人公は僕だった

主人公は僕だった人生は、先が分からないから面白い、という人がいる。先が分かってしまったらつまらないから。
では、先が分かってしまう人生は、一概にして面白くない? 実は必ずしもそうではない。これから先、死ぬまでずっとハッピーな展開であればまだしも、人生には否応無く、大なり小なりの悲劇や苦痛が訪れる。そうなることを知っていたら、人は何が何でもその運命にあがらうはずだ。どうやったら、自分の運命は変わるのか。本当に運命を変えることが出来るのか。今までと同じことなのか、それとも違うことに挑戦するのか。結果は別にして、『あがらう』という道筋もまた、人生の大きな彩になる。

毎日を、淡々と、平凡に暮らしている人には、あるいは、自分のスタイルが凝り固まるくらいに確立して、容易に動かせない人には、難しいかもしれないけれど。

でも、ほんのちょっとの違う道筋が、近い将来、自身に大きな糧をもたらすことだってある。


この作品の主人公は2人。
ウィル・フェレルが扮する、堅物会計検査官ハロルド・クリック。毎日同じ時間に目が覚め、毎朝同じ回数歯を磨き、同じ道のり、同じ歩数、同じバスに乗って職場に向かう。寸分足りとも違わない自分の生活スタイル。平凡というより、変化の無い機械的な毎日。
方やエマ・トンプソンが扮する、人気女性作家カレン・アイフルは、一貫して主人公を殺す悲劇作家。自分のキャラクターをどのように殺すかで毎回悩み、苦しむ。まるで、「自分の小説は、誰かが必ず死ななければならない」と変に屈折したポリシーを抱えているかのように。
いつもと同じ毎日。いつもと同じ作風。

しかし、彼女が執筆中している、彼の『これまでの人生、そしてこれから辿る道筋』が、彼の頭の中で響く時、本来だったら全くの無関係にもかかわらず接点が出来た瞬間、これまで歩んできた両者の道筋に、変化が訪れる。
彼は知る。自分の人生が如何に変化の無い退屈な毎日を送っていたか。彼女は知る。いくらフィクションとはいえ作家としての責任に追われるのようにキャラクターを殺してきたか。

別に、彼らは変わることを恐れていたわけじゃない。
ほんの少しの行動一つ一つに、自分を変える『何か』があったかもしれないのに。意図してそれを無視したわけじゃない。変わらないことで、自身の人生に対する責任を果たせるんじゃないか、と思っていた。

しかし、お互いの存在を知ることによって、それが必ずしも幸せの道筋ではないということが分かった。変わらなくても幸せな人生を送れるかもしれない。でも、変われば、もっと違う幸せを感じ取ることが出来るかもしれない。だから、執筆中の作品の結末を変えて、それまで『最高』だったのが『まぁまぁ』に評価になっても、彼女はそれほど落胆しなかったのだと思う。新たな道筋ができた、どんな行く末が待っているかは分からないけど、これまでと違う何かを感じることが出来る、と思ったのだろう。


人の生命は一つだけれど、人生は一つじゃない。
未来への道筋は決まっているように見えて、実は決まっていないと思う。
何気ない行動、取るに足らない僅かな行動。でも、するとしないで大きく違ってくる。一つ一つの未来を決め、そして作り上げていくのは、誰でもない、自分自身なのだから。

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2008/01/23 21:30 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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