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2024/11/22 12:21 |
[Review] ラストキング・オブ・スコットランド
ラストキング・オブ・スコットランド『ヒトラー 最期の12日間』で、ブルーノ・ガンツ演じるアドルフ・ヒトラーは、まるで他を受け入れない狂人そのものでした。フォレスト・ウィッテカー演じるウガンダの独裁者イディ・アミンも、自身の持つ狂気を余すことなく撒き散らす独裁者のように描かれていますが、性質はアドルフ・ヒトラーとはまるで違いました。アドルフ・ヒトラーの持つカリスマ性は、触れた者は皆心酔する、まるで宗教指導者のようなもの。対するイディ・アミンは、アメとムチを巧みに使い、人々を引き込んでいき、罠にはめていく詐欺師のようなもの。
そして、どちらにも共通する事といえば、自分の気に入らない、自分の妨げになるものに対しては、容赦なく切り捨てる。まぁそれは、彼等のような独裁者に限らず、民主主義の国でも日常茶飯事的に起きている事ですが。勿論、彼等のように抹殺するような事はないですけれども。


この作品で、初めてイディ・アミンという人物を知ることが出来ました。念のためですが、この作品は実在の人物を題材にした作品ではありますが、実在しない人物、ジェームズ・マカヴォイが演じる青年医師ニコラス・ギャリガンの視点によって進んでいるため、多少脚色されております。

ニコラスが始めて会った時のアミン大統領は、『スコットランド』という共通の嗜好があったからこそなんだろうけれど、非常に友好的でした。単に手の捻挫を治療しただけなのに、アミン大統領の主治医に抜擢。更には主治医とは思えないくらいの待遇や、政治的な場面に頼ってもらえるなど、至れり尽くせり。でも、それこそがアミン大統領の『恐怖』という奈落の底の始まりでした。
アミン大統領は、自分が気に入ったものは何があろうとも手放さない。そして自分の気に入らないものは、いとも容易く切り捨てる。まるで子供のような二面性を持つ人物。偉大なる支配者の顔を見せるその裏側で、自分の意にそぐわない者は容赦なく粛清する。ニコラスがその事実を知ってしまうや否や、逃げられないようパスポートまで奪うほどの徹底振り。
しかも、アミン大統領の裏の顔まで知らなかった時のニコラスは、主治医とは思えない優遇を大手で振りかざす。それが、彼を破滅の底へと更に追いやる事も知らずに……


アミン大統領を演じたフォレスト・ウィッテカーは、第79回米アカデミー賞で主演男優賞を獲得しました(ちなみに僕的には『ブラッド・ダイヤモンド』で主演を演じたレオナルド・ディカプリオの方が良かったように思いますが……)。
同じ年の米アカデミー賞ノミネート作品で、アフリカを舞台に繰り広げられる物語は、他にも『バベル』や『ブラッド・ダイヤモンド』があります。昨年には、『ナイロビの蜂』がノミネートされ、レイチェル・ワイズが助演女優賞を獲得しました。それらの作品にまざまざと映し出されるのは、『アフリカの現状』。「どれだけ悲惨で、どれだけ過酷か」なんて、何も知らない僕が言葉にすることすらおこがましいくらいの現状。けれど、『ブラッド・ダイヤモンド』のラストのシーンにおける、夕日に照らされるアフリカの美しい光景もまた事実。
開発援助の名の下に脅かされるアフリカの利権争い。激変する環境、生活。そして宗教や民族間の戦争。増え続ける難民、難病患者。僕はまだ、映画の中でしか知り得ないけれど、それでも「何も触れない」よりかは、アフリカの現状をまざまざと描いた作品に触れられたことは、有意義だと思います。『ラストキング・オブ・スコットランド』も、元を糺せば、先進国による介入によってできた歪みの一端なのかもしれませんから。

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2008/01/06 18:09 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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