「ここで起こっている虐殺の映像が世界に伝われば、きっと助けが来る」
「いや、助けなど来ない。大半の人が『怖いね』と思うだけだ」
1994年にルワンダで起こったルワンダ紛争。フツ族とツチ族が対立し、フツ族過激派がツチ族を虫けらのように扱い、大量虐殺を図る。時として、同じ種族であるフツ族も、過激派に同意しなければ、彼らの銃弾の犠牲になる。同じ肌の色をし、同じ場所に住み、同じ血の通う同胞なのに。
その原因は、植民地化するための欧米先進国の利権のための策略。遠因とはいえ、その策略の延長線上に、今の豊かな生活が存在する。なのに、彼らにとっては『違う世界』と簡単に切り捨てられる。そして、「自分以外の誰かが彼らを救ってくれる」と考える。
ドン・チードルが演じる、高級4つ星ホテル『ミル・コリン・ホテル』の支配人ポール・ルセサバギナも、黒い肌を持ち、ルワンダに住む土着の民族とはいえ、先進国に住む者と同じような立場にあった。各国の要人が宿泊するようなホテルの支配人だから、食べ物も、着るものも、住む所も困らない。家族も同じ、裕福な家庭。だから、身の回りで勃発している紛争も、どこか他人事で、すぐに収まる、誰かが解決してくれる、と思っていた。
でも、無力なままに国連が平和維持軍を撤退させ、ホテルに滞在する『外国人』を避難させた瞬間、ようやく自分の本当の立場を悟る。たとえこれまで幸せで、裕福な人生を送っていようとも、自分が『フツ族』であるというだけで、理不尽が線引きが成される。助けてほしい時に、守ってもらいたい時に、理不尽に報酬を請求される。同じ民族なのに、まるで金持ちは助け、貧乏人は野垂れ死ねを言わんばかりに。
世界の人種差別は、未だに終わっていないことを、身を以って突きつけられる。
しかし、そんな苦行の中で、彼は少しずつ変わっていった。
最初は、自分の身と、家族親族だけが助かればいいと考えていた。でも、今や自分のホテルの中には、自分が意図して匿った人たちも大勢いる。道中、あんな身の毛も弥立つような、腹の中全てを吐き出してしまいそうな虐殺の跡を見たからだ。
誰にも看取ってもらえない。誰にも埋葬してもらえない。誰にも弔ってもらえない。ただそこに存在する『もの』のように、打ち捨てられた見渡す限りの死体。それでもまだ、ツチ族を殺そうと息巻いているフツ族過激派がいる。たとえ自分たちが助かっても、これから先も、こんなおぞましい光景を見続けなければならないのだろうか。
未だに終わらない人種差別。同じ血を分かつのに繰り広げられる民族紛争。理不尽に線引きされる屈辱。それを見て何もできない屈辱。それを見ても何もしない恥辱。
この作品には、これまで人類が仕出かしたことによって吐き出された『汚点』が数多く凝縮されている。まるで、利便性を追求するあまりに今まで見ようともしなかった自然環境の汚染のように。そして、これからも背負わなければならない罰として、僕たちの背に圧し掛かる。
銃声や怒声に怯えることなく、誰もが笑って日々を暮らせる時は来るのだろうか。でもそれは、今を生きる僕たち全員の、努力と選択にかかっている。彼らが受ける屈辱は、僕たちに向けられる屈辱でもあるのだから。
「いや、助けなど来ない。大半の人が『怖いね』と思うだけだ」
1994年にルワンダで起こったルワンダ紛争。フツ族とツチ族が対立し、フツ族過激派がツチ族を虫けらのように扱い、大量虐殺を図る。時として、同じ種族であるフツ族も、過激派に同意しなければ、彼らの銃弾の犠牲になる。同じ肌の色をし、同じ場所に住み、同じ血の通う同胞なのに。
その原因は、植民地化するための欧米先進国の利権のための策略。遠因とはいえ、その策略の延長線上に、今の豊かな生活が存在する。なのに、彼らにとっては『違う世界』と簡単に切り捨てられる。そして、「自分以外の誰かが彼らを救ってくれる」と考える。
ドン・チードルが演じる、高級4つ星ホテル『ミル・コリン・ホテル』の支配人ポール・ルセサバギナも、黒い肌を持ち、ルワンダに住む土着の民族とはいえ、先進国に住む者と同じような立場にあった。各国の要人が宿泊するようなホテルの支配人だから、食べ物も、着るものも、住む所も困らない。家族も同じ、裕福な家庭。だから、身の回りで勃発している紛争も、どこか他人事で、すぐに収まる、誰かが解決してくれる、と思っていた。
でも、無力なままに国連が平和維持軍を撤退させ、ホテルに滞在する『外国人』を避難させた瞬間、ようやく自分の本当の立場を悟る。たとえこれまで幸せで、裕福な人生を送っていようとも、自分が『フツ族』であるというだけで、理不尽が線引きが成される。助けてほしい時に、守ってもらいたい時に、理不尽に報酬を請求される。同じ民族なのに、まるで金持ちは助け、貧乏人は野垂れ死ねを言わんばかりに。
世界の人種差別は、未だに終わっていないことを、身を以って突きつけられる。
しかし、そんな苦行の中で、彼は少しずつ変わっていった。
最初は、自分の身と、家族親族だけが助かればいいと考えていた。でも、今や自分のホテルの中には、自分が意図して匿った人たちも大勢いる。道中、あんな身の毛も弥立つような、腹の中全てを吐き出してしまいそうな虐殺の跡を見たからだ。
誰にも看取ってもらえない。誰にも埋葬してもらえない。誰にも弔ってもらえない。ただそこに存在する『もの』のように、打ち捨てられた見渡す限りの死体。それでもまだ、ツチ族を殺そうと息巻いているフツ族過激派がいる。たとえ自分たちが助かっても、これから先も、こんなおぞましい光景を見続けなければならないのだろうか。
未だに終わらない人種差別。同じ血を分かつのに繰り広げられる民族紛争。理不尽に線引きされる屈辱。それを見て何もできない屈辱。それを見ても何もしない恥辱。
この作品には、これまで人類が仕出かしたことによって吐き出された『汚点』が数多く凝縮されている。まるで、利便性を追求するあまりに今まで見ようともしなかった自然環境の汚染のように。そして、これからも背負わなければならない罰として、僕たちの背に圧し掛かる。
銃声や怒声に怯えることなく、誰もが笑って日々を暮らせる時は来るのだろうか。でもそれは、今を生きる僕たち全員の、努力と選択にかかっている。彼らが受ける屈辱は、僕たちに向けられる屈辱でもあるのだから。
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