fixer
-【名】(C)
1.取り付ける人[もの]
2.《口語》(買収などで事件をもみ消したり裏取引をする)フィクサー、仲介者; 調停者
3.定着剤; 色染め染料
法廷闘争は、被告と原告の戦い。さらには、検察側と弁護側の戦い。
どちらが多くの証拠を揃え、相手の弁論に対しどれだけ備えるか。どちらが上を行き、その論争を制するかの戦いは、時として正論だけで全てが賄えるわけではない。論点を巧みにすり替えたり、都合のいいように尋問を図ったり。そして、こちらの不利となる証拠を抹消したり。
正義を振りかざすだけでは勝てない。そんな時、人は倫理観から大きく逸脱するような行動を取る。どれだけ闘争相手を騙し、欺き、自分の有利な方へと誘うか。被告と原告の戦いは、何も法廷内だけではない。法廷の外でも、確実に相手を仕留め、あるいは自分達が有利になるような動きが、水面下で行われている 。
という作品を想像していたのですけれど、実際にはかなり違っていました。
今作の原題は『MICHAEL CLAYTON』。今作の主人公の名前。つまり近作は、巨額の薬害訴訟を目の前にして、弁護側として立つ主人公が、どう考え、どう動くかを追った物語。「如何にしてその巧みな話術と行動力で、不利となる証拠や議題を抹消するか」が目的ではないのです。
もみ消し屋として暗躍する役は、主演のジョージ・クルーニーだけかと思っていましたが、いやはや、もみ消しにかかるのは、被告側に立つほとんどの人間側だったんですね。ティルダ・スウイントン演じる、被告側の会社の法務部本部長、被告側が委託した弁護士事務所、そして、不利な証拠は人すらも抹消する暗殺集団……。
そんな中でも注目なのが、主演のジョージ・クルーニーと、アカデミー賞助演女優賞に輝いたティルダ・スゥイントン。どちらも、倫理に反した『もみ消し』という行為に走りながらも、完全なる悪役に徹し切れていない、人間らしいジレンマを醸し出しています。
ジョージ・クルーニーは、これまで数多く『もみ消し』としての実績を重ねていたが、本業は弁護士であるにもかかわらず、ずっと裏稼業に手を汚し続けて嫌気を指している。一方のティルダ・スウイントンは、不利な証拠はどんな手を使ってでも抹消する非常さを持ちながらも、演説などいざという時は鏡に向かって自分だけのリハーサルを行うなど、アドリブが利かない完璧主義者。一切の綻びを許さないから、予想外な出来事が発生すると、パニックに陥ってしまうタイプ。本人は努めてそう悟られないようにしていますけれど。
心理戦の応酬や、如何にして真実に近づくか、というのも勿論ですが、悪に徹しきれない普通の人間が、悪の手に染まった時、どのような行動に取るのか、というヒューマン・ドラマ的な側面を持つ作品です。
ですので、あまり過度な期待はせぬ方がいいかもしれません。ラストの、正にどんでん返しは見ものですが、それまでは中弛みに映ってしまうかもしれません。
-【名】(C)
1.取り付ける人[もの]
2.《口語》(買収などで事件をもみ消したり裏取引をする)フィクサー、仲介者; 調停者
3.定着剤; 色染め染料
法廷闘争は、被告と原告の戦い。さらには、検察側と弁護側の戦い。
どちらが多くの証拠を揃え、相手の弁論に対しどれだけ備えるか。どちらが上を行き、その論争を制するかの戦いは、時として正論だけで全てが賄えるわけではない。論点を巧みにすり替えたり、都合のいいように尋問を図ったり。そして、こちらの不利となる証拠を抹消したり。
正義を振りかざすだけでは勝てない。そんな時、人は倫理観から大きく逸脱するような行動を取る。どれだけ闘争相手を騙し、欺き、自分の有利な方へと誘うか。被告と原告の戦いは、何も法廷内だけではない。法廷の外でも、確実に相手を仕留め、あるいは自分達が有利になるような動きが、水面下で行われている
という作品を想像していたのですけれど、実際にはかなり違っていました。
今作の原題は『MICHAEL CLAYTON』。今作の主人公の名前。つまり近作は、巨額の薬害訴訟を目の前にして、弁護側として立つ主人公が、どう考え、どう動くかを追った物語。「如何にしてその巧みな話術と行動力で、不利となる証拠や議題を抹消するか」が目的ではないのです。
もみ消し屋として暗躍する役は、主演のジョージ・クルーニーだけかと思っていましたが、いやはや、もみ消しにかかるのは、被告側に立つほとんどの人間側だったんですね。ティルダ・スウイントン演じる、被告側の会社の法務部本部長、被告側が委託した弁護士事務所、そして、不利な証拠は人すらも抹消する暗殺集団……。
そんな中でも注目なのが、主演のジョージ・クルーニーと、アカデミー賞助演女優賞に輝いたティルダ・スゥイントン。どちらも、倫理に反した『もみ消し』という行為に走りながらも、完全なる悪役に徹し切れていない、人間らしいジレンマを醸し出しています。
ジョージ・クルーニーは、これまで数多く『もみ消し』としての実績を重ねていたが、本業は弁護士であるにもかかわらず、ずっと裏稼業に手を汚し続けて嫌気を指している。一方のティルダ・スウイントンは、不利な証拠はどんな手を使ってでも抹消する非常さを持ちながらも、演説などいざという時は鏡に向かって自分だけのリハーサルを行うなど、アドリブが利かない完璧主義者。一切の綻びを許さないから、予想外な出来事が発生すると、パニックに陥ってしまうタイプ。本人は努めてそう悟られないようにしていますけれど。
心理戦の応酬や、如何にして真実に近づくか、というのも勿論ですが、悪に徹しきれない普通の人間が、悪の手に染まった時、どのような行動に取るのか、というヒューマン・ドラマ的な側面を持つ作品です。
ですので、あまり過度な期待はせぬ方がいいかもしれません。ラストの、正にどんでん返しは見ものですが、それまでは中弛みに映ってしまうかもしれません。
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