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2024/04/23 20:34 |
[Review] ナイロビの蜂
ナイロビの蜂『感動』で泣いた作品は今までに数あるけれど、『痛み』や『苦しみ』で泣いた映画は、これが初めてかと。同時に、これ程までに素晴らしい映画に出会えたことに、制作された方々、俳優、原作者ジョン・ル・カレ氏に、心から感謝申し上げます。


「長いものには巻かれろ」という諺の如く、現在の社会は利益創出の為に、ある時は大きな勢力や権力に従い、ある時は苦しんでいる人の目の前で見て見ぬ振りをする。
シリアナ』で観た様な、『腐敗』と『陰謀』が先導している世界の中で、誰よりも何よりも、人間を愛し、須らく人間が人間として生きるために労力を惜しまない、本当の意味で『強い』妻。同時に、強く夫を愛し、自分の正義に夫も巻き込むことを嫌い、殆ど自分一人の力で世界の問題に立ち向かう妻。
その妻が陰謀によって殺され、「自分に対して」と「人間に対して」の愛の深さを知ったとき、夫は、本当のことを理解する。妻が何を求めていたのか。妻が何を大切にしていたのか。

これは小説ではありますが、まるで本当に、世界の裏側で今も尚『腐敗』と『陰謀』が起こっているような、いや、起こり続けているような、そんな錯覚を覚えます。だからこそ、心にズシリと重く、苦しい気持ちになるのです。
この映画は主にサスペンスを描いているので、世界の『陰謀』や『腐敗』の色が強く出ているからこそ、「夫婦の愛の描写は?」と、首を傾げたくなるのですが、逆にサスペンス色が強いからこそ、要所要所に隠されていた妻の軌跡が垣間見え、雪のようにしんしんと心の中に降り積もっていく。それが大きくなり、聖母のような妻の壮大なる愛が一つに巡りかえる。


   
「君の秘密がわかったよ。君のことが理解できた。
    家に帰るよ、君のもとへ」



妻が追い求めた真実と、妻がくれた壮大な愛を理解したとき、夫にとって、本当の意味での安息を見つけることが出来る。ようやく、本当に『夫婦』として、一つに結ばれる事が出来る。
あまりにも苦しく、切なく、辛く、でも強く引き込まれ、心打たれる映画です。

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2006/05/13 23:25 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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