Q. 誰かを愛するために、必要なこと、大事なことは何ですか?
A. 自分自身を好きになること。
自分を愛せないのに、どうやって人を愛することができる?
自分が愛せないものを、どうやって人は愛することが
できる?
簡単なようでいて、実はとても難しい。「自分を愛すること」。
ナルシストとは全く違う、ありのままの自分を受け入れ、ありのままの自分を表し、ありのままの自分を労わること。
一番身近にいるのに、一番遠くに見える人間・『自分』。もしかしたら、永遠に見えないのかもしれない。「こうありたい自分」「こうあるべき自分」のオブラートに隠されて。
でも、ありのままの自分を見つめるために、後押ししてくれる人がいたら?
「自信を持って」と頭ごなしに言われるより、「あなたは素晴らしい」と、ありのままを受け入れて言ってくれる人がいたら?
こんなどうしようもない自分でも、自分を受け入れてくれる、真実の自分を見つめてくれる人が傍らにいれば、僕だったら、多分泣くだろう。
「僕のことを、本当に分かってくれる人がいたんだ」と。「ありのままの僕でいいんだ」と。
それに気づかせてくれる人こそ、人生の『天使』なのかもしれない。
全編がモノクロのパリの街の一角で起きた、決して壮大ではないけれど、「人が人として生きるうえで、本当に大切なものは何か」ということを問いかけ、受け入れる映画です。
眼で見えることしか真実として受け入れない、目先のことしか考えない、まるで自分は世界で最も不幸な人間だと思えて仕方が無い方に、是非観ていただきたいと思います。
真実は、決して眼に見えるものだけとは限らない。
美しいパリの街をモノクロで撮影したのは、単にパリがモノクロの方がずっと映える、というだけでなく、「真実を見て欲しい。もっと眼を凝らして、もっと視野を広げて見て欲しい」というメッセージが込められているのではないのでしょうか。「世界は美しい」「でもその美しさは、観る人それぞれ」。多分、観る人にとってこの映画の『色』は、観る人の分だけあるのでしょうから。
同じように、もっと自分を見つめて欲しい。
変に色に塗りたくられた自分ではなく、ありのままの『自分』という色に染められた『自分』を。難しいことだけれど、でも、「あなたなら出来る」。
27歳の誕生日を迎え、未だ成長できていない自分だけど、一歩踏み出すことが出来るのは、この世でたった一人、『自分』しかいない。
リュック・ベッソン監督の最新作は、まるで他人事とは思えない自分にとって、何物にも変えがたい珠玉の映画だと思います。
『自己』を改めて見つめさせ、心に響く映画でありながらも、コロッとコメディ路線に方向転換して、クスッと笑わせてくれました。
しかもその笑いの要素があまりにも意外性があって、本当に面白かったです。