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2017/10/19 18:01 |
[Review] チェ 28歳の革命
チェ 28歳の革命『祖国か、死か』。

第2次世界大戦直後の南米。未だに欧米諸国の植民地支配と圧制の陰が色濃く残っている世界。戦いによって疲弊した人々に対してさえも容赦なく搾取の日々は続き、格差はどんどん広がっている。それに呼応するかのように革命やクーデターの声が日々高まっている。それでも、民衆が望んだ未来が訪れることなく、一つ、また一つと革命の火種が潰える日々。ゲバラ青年は、中南米を旅する中で、そんな人々の嘆きを具に垣間見ていたそうです。

「革命を起こす」。声に出すのは簡単でも、実際に実行に移すのはそう簡単なことではありません。革命は一人では出来ない。多くの人員の理解を得、力を借り、結集し突き進めていかなければならない。「一人の思想が全てを動かす」。それが如何に困難を極めるか、世界中の歴史が物語っています。
加えて、革命勢力があるということは、その反対の現在の政権の勢力もあるということ。革命勢力とは正反対の思想を持ち、勿論それを支持する団体も存在する。人間とは本来利己的な存在。一度手にした力や権益を、そうやすやすと手放すことはしない。「他の誰かのために」「他の誰かと共に」という考え方は、表面的に繕っても、本音の奥底は微塵も感じていない。

僕は共産主義の人間ではありませんが、それでも、チェ・ゲバラの、自らの信じた革命を推し進めるという強い意志の傍らで、「他の誰かのために」「他の誰かと共に」の意思が色濃く出ているところに、彼の『男気』のようなものを感じました。
常に前線に出て戦いつつも、傷ついた者は必ず収容する。捕虜として捕らえた敵に対しても、極力侮辱的な行為は行わない。仲間から何か教えを乞われてもそれを受け止めて教授するし、規律に反する行為をしたものは厳しい処分を下す(それは時に命を奪うことも…)。
最初はほんの数人にすぎない部隊も、徐々に増え、部隊に賛同する者も老若男女問わず集まってくる。革命を起こす以上、なるべく多くの人は欲しいが、やはり即戦力となるものが欲しいのは本音ですね。武器を持たない者、教育を受けていない者、また年端もいかない者はは帰れという。一見残酷に見下すようでも、一種の優しさなのかもしれません。本来だったら教育を受ける間もなく突進するような部隊が多い中でも、彼は部隊の一人一人が教育を受けるようにさせているから。
確かに部隊は数が多ければ多いほど有利なのかもしれない。でも、どんなに数が多くても、士気が伴わなくては何も意味が無い。時として無名兵士の銃弾が、一気に形勢を逆転することもある。彼はそれを知っているからこそ、部隊の訓練や教育、そして規律に余念が無かったのでしょう。
最初はフェデル・カストロに共鳴した革命の小さな火種が、徐々に大きくなり、業火となってキューバを覆う。民衆の支持も得てその炎が大きく燃え盛り、キューバ革命は達成するのです。

さて、本作は革命遂行時のチェ・ゲバラと、革命終了後の数年後にアメリカでインタビューを受けるチェ・ゲバラと交錯しながら進みます。
しかし、(主演のベニチオ・デル・トロ氏の演技の賜物であるのでしょうけれど)両者のチェ・ゲバラ像は全くと言っていいほど異なります。革命遂行時は、部下からも民衆からも慕われる、気さくだけど誇り高い一人の将校というイメージが強いのですが、革命数年後のチェ・ゲバラは、恐帝と紙一重の恐ろしさが際立つ人物に。
一体、何が彼をそこまで変えたのか。外面は変わっても、その内面は何一つ変わっていないのか。その真相は、もしかしたら次回作の『チェ 39歳 別れの手紙』で語られるのかもしれません。

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2009/01/17 23:15 | Comments(0) | TrackBack(5) | Review - Movie

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