史上最強と言っても過言ではない、ティム・バートン監督と名優ジョニー・デップのコラボレーション。これまでもダークなのに不快感がほとんど無く、且つコミカルにキャラクターが躍動する映画はいくつかありますが、この作品はその真骨頂と言えるのかもしれません。
第56回ゴールデングローブ賞で、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞(ティム・バートン)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門/ジョニー・デップ)、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門/ヘレナ・ボナム・カーター)と4部門がノミネート。うち、作品賞と主演男優賞を見事受賞。血がドバドバ噴出するスプラッター映画は、好き嫌いがはっきりと分かれ、賛否両論が多くあります。特にこの映画は、本当にシリアスに、リアリティを求めて演出すれば気持ち悪いことこの上ないですし。しかし、この作品は元々ミュージカルですし、しかもティム・バートン監督ならではの、コミカル&ファンタジーに仕上がっています。大抵、モノトーンの作品は陰鬱になりがちなのですが。
ですので、どなたでも楽しく(?)観賞できるのではないかと思います。
(『ティム・バートンのコープス・ブライド』でたとえるなら、ミュージカル風に演じているところは、コミカルで色彩溢れる死者の世界、それ以外の部分は、ダークでモノトーン、色味がほとんど無い人間界、というところでしょうか)
勿論、喉元掻っ捌いて血が止め処なく噴出するシーンは、惜しみなく表現されておりますので、そこら辺はご鑑賞の際はご注意を。
この作品は、主演にしても脇役にしても、それぞれ追い求めているものがあるのですが、みんな例外なく屈折しています。性格、というか、対象を追い求めようとしている『方法』そのものが(汗)。
スウィーニー・トッドの何が何でもその首元に刃を切り付けたいと願う復讐心。スウィーニーを自分のものにするために色々と画策したり、妄想に耽るミセス・ラベット(怖さで言えばこの人かもネ。最後の方の台詞"Tobby, Where are you ?"が、『ティム・バートンのコープス・ブライド』での、"Victor, Where are you ?"を彷彿させて、身震いしましたデス……)。スウィーニーの妻と娘に異常なまでの愛情を抱き、手に入れるためには手段を選ばず、時には人生を破滅に追いやるターピン判事。たとえボッコボコに殴られ蹴られながらも、一度恋心を抱いた娘は死んでも追いかける青年アンソニー。
うわーっ、これだけのキャラクターが一度に会した作品は、普通はウゼェ! と感じること請け合いなんでしょう。でも不思議とそうと感じなかったところにも、ティム・バートンの鬼才が発揮されていたのではないのでしょうか。
しかしまぁ、そんな中でもジョニー・デップのアクの強さは、この作品でもいかんなく発揮されているようです。
かつて柔和な笑みを絶やさなかった理髪師ベンジャミン・バーカーとは思えない、本当に同一人物なのか疑ってしまうほどの変貌振りのスウィーニー・トッド。己の復讐を遂行する事に何の躊躇いもなく、進んで『悪役』になる、いやなるだけではなく徹しきることに悦んでいる。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウと同じように、よくある主人公像ではなく、もっと歪んだ性格・性質を持つ役に惹かれるジョニー・デップにとって、正にうってつけだったのでしょう。
本来ダークな物語が、コミカルなファンタジーに仕上がっているのですから、どことなく商業主義に走っているふうに捉えられるのかもしれません。しかし、それはほとんどと言っていいほどなく、むしろ監督をはじめとする出演者も含めた、ある意味での趣味の世界に走っています。
大抵制作者サイドの趣味の世界に走った作品というのは、失敗に終わる、もしくはほんの一握りの観客しかうけない、というのがお決まりなのですが、不思議ですよね、ティム・バートンとジョニー・デップが関わると、むしろ魅入ってしまう人が多い。それは勿論、彼等の持つ監督もしくは俳優としての魅力もあるのでしょうけれど。
ありきたりな展開もいいけれど、たまにはこれまでとは全くと言っていいほどの雰囲気の作品を鑑賞したい、という方に、お勧めの作品です。
第56回ゴールデングローブ賞で、作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞(ティム・バートン)、主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門/ジョニー・デップ)、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門/ヘレナ・ボナム・カーター)と4部門がノミネート。うち、作品賞と主演男優賞を見事受賞。血がドバドバ噴出するスプラッター映画は、好き嫌いがはっきりと分かれ、賛否両論が多くあります。特にこの映画は、本当にシリアスに、リアリティを求めて演出すれば気持ち悪いことこの上ないですし。しかし、この作品は元々ミュージカルですし、しかもティム・バートン監督ならではの、コミカル&ファンタジーに仕上がっています。大抵、モノトーンの作品は陰鬱になりがちなのですが。
ですので、どなたでも楽しく(?)観賞できるのではないかと思います。
(『ティム・バートンのコープス・ブライド』でたとえるなら、ミュージカル風に演じているところは、コミカルで色彩溢れる死者の世界、それ以外の部分は、ダークでモノトーン、色味がほとんど無い人間界、というところでしょうか)
勿論、喉元掻っ捌いて血が止め処なく噴出するシーンは、惜しみなく表現されておりますので、そこら辺はご鑑賞の際はご注意を。
この作品は、主演にしても脇役にしても、それぞれ追い求めているものがあるのですが、みんな例外なく屈折しています。性格、というか、対象を追い求めようとしている『方法』そのものが(汗)。
スウィーニー・トッドの何が何でもその首元に刃を切り付けたいと願う復讐心。スウィーニーを自分のものにするために色々と画策したり、妄想に耽るミセス・ラベット(怖さで言えばこの人かもネ。最後の方の台詞"Tobby, Where are you ?"が、『ティム・バートンのコープス・ブライド』での、"Victor, Where are you ?"を彷彿させて、身震いしましたデス……)。スウィーニーの妻と娘に異常なまでの愛情を抱き、手に入れるためには手段を選ばず、時には人生を破滅に追いやるターピン判事。たとえボッコボコに殴られ蹴られながらも、一度恋心を抱いた娘は死んでも追いかける青年アンソニー。
うわーっ、これだけのキャラクターが一度に会した作品は、普通はウゼェ! と感じること請け合いなんでしょう。でも不思議とそうと感じなかったところにも、ティム・バートンの鬼才が発揮されていたのではないのでしょうか。
しかしまぁ、そんな中でもジョニー・デップのアクの強さは、この作品でもいかんなく発揮されているようです。
かつて柔和な笑みを絶やさなかった理髪師ベンジャミン・バーカーとは思えない、本当に同一人物なのか疑ってしまうほどの変貌振りのスウィーニー・トッド。己の復讐を遂行する事に何の躊躇いもなく、進んで『悪役』になる、いやなるだけではなく徹しきることに悦んでいる。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウと同じように、よくある主人公像ではなく、もっと歪んだ性格・性質を持つ役に惹かれるジョニー・デップにとって、正にうってつけだったのでしょう。
本来ダークな物語が、コミカルなファンタジーに仕上がっているのですから、どことなく商業主義に走っているふうに捉えられるのかもしれません。しかし、それはほとんどと言っていいほどなく、むしろ監督をはじめとする出演者も含めた、ある意味での趣味の世界に走っています。
大抵制作者サイドの趣味の世界に走った作品というのは、失敗に終わる、もしくはほんの一握りの観客しかうけない、というのがお決まりなのですが、不思議ですよね、ティム・バートンとジョニー・デップが関わると、むしろ魅入ってしまう人が多い。それは勿論、彼等の持つ監督もしくは俳優としての魅力もあるのでしょうけれど。
ありきたりな展開もいいけれど、たまにはこれまでとは全くと言っていいほどの雰囲気の作品を鑑賞したい、という方に、お勧めの作品です。
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