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2017/09/26 10:59 |
[Review] ガチ☆ボーイ
ガチ☆ボーイ心は忘れていても、身体が憶えていることもある     

映画館のポスターを拝見した時、「よくある青春ハチャメチャ劇か?」と一歩引きながら思ってしまいました。割とこの手の作品は敬遠していたのですが、様々な感想文を拝見してエラく高評価だったので、鑑賞することに。
凄く良かったです。展開としてはベタなところはありますが、「ハンディキャップを背負っていても尚、立ち向かおうとする姿勢」は、観る者をググッと惹き付ける魅力がありました。


『記憶障害』に関する作品はこれまでにも数多く公開されています。そのうち、僕がこれまでに鑑賞した作品は、『博士の愛した数式』と『明日の記憶』。『博士の愛した数式』は、事故を起こす以前の記憶は鮮明に残っているのに、それ以降の記憶は80分を過ぎるとなくなってしまう。一方の『明日の記憶』は、それまでの大切な、無くしたくない記憶ですら、まるで白く塗りつぶされてしまうかのように消されてしまう。
(鑑賞はしておりませんが、海外の作品でも、『50回目のファースト・キス』や『私の頭の中の消しゴム』などがありますね)
今作の主人公が持つ障害は、『博士の愛した数式』のような、高次脳機能障害。眠りに就き、目覚めると前日のことを忘れてしまう記憶障害。目が覚めたら、「『昨日』は何したんだっけ?」じゃない。「『昨日』というのはあったのか?」。『昨日』という大切な1日があったのかどうかすらも分からない。『昨日』を知る手がかりは、これまで書きとめた分厚い日記帳。それを書いたことすらも忘れてしまうので、目が覚めた時、周囲にあるのは、「日記を見ろ!」のメモ書き。
昨日までの自分の記憶がありません。それは、明日になったら別人の自分がいる。昨日までの自分を取り戻すには、昨日までの記録を見るしかありません。けれど、「日記を書いた」ことすらも忘れていると、「本当にこれは、自分がこれまでにやってきたことなのか」と疑ってしまうのです。

吐き気がするような嫌悪。これが死ぬまで一生続くという恐怖。そして、それを自分の家族に、自分の身の回りの人達に背負ってもらわなければならない、という罪悪感。

しかし、どんなに心が忘れても、身体は正直。
プロレスをしている時の痣が残っている。筋肉痛が残っている。何度も何度も練習し、その身体に刻み込まれたから、自然と身体が動く。「あれ、こんな技練習したっけ?」。そう思っても、身体が自然とそう動くのなら、練習したに違いない。それも毎日毎日毎日。
明日、自分の心は確かに別人になっています。昨日までの自分を取り戻すのは並大抵のことではできません。けれど、身体は昨日の自分を残している。その前の日も。その前も。その前も。連綿と残っている記憶。
「ちゃんと昨日も生きている」という証。これからも余儀なく「明日になったら別人の自分」という不安と恐怖が襲い掛かるけれど、身体に『昨日まで』が残っている限り、明日への支えになる。

でも、残したくない記憶を突き付けられ、それを残さなければならないのは、やっぱり辛い。


僕の周りには、記憶障害を持っている方はいません。でも、これから長い人生を送る中で、そういった方にお会いすることがあるかもしれません。もしかしたら、僕自身がそうなるかもしれません。
見た目は普通の健康体なのに、記憶が1日しか持たない。当事者である本人も、その人と共にしていく人も、同じように辛い。
出来ることは本当に少ないけれど、理解無しにお互いが重い障害を受け入れることはできない。何も出来ないかもしれないけれど、何もしなければ、きっと死ぬまで、別人の1日を未来永劫繰り返したままになってしまう。
当事者の心には、明日になったら消えてしまっても、身体が、そして共に生きる人達が憶えている。そんな絆の大切さを教えてくれる作品です。


実のところを申しますと、この類の作品は、実は苦手なんです。歯痒くなる、という意味ではなくて、フィクションなんですけれど、とても主人公が羨ましく思うのです。
自分にはこんな弱いところがある。それでも受け入れて、信じてくれる、背中を預けてもらえる仲間がいる。そんな経験があまり無かったものですので、年甲斐もなく(爆)羨ましく思ってしまっています。もしかしたら、既に自分にはいて、自分だけが気づいていないだけかもしれませんが。
『弱さ』を受け止め、受け入れてくれる仲間がいると実感できるのは、たとえ記憶に残らなくても、『幸せ』は残るのではないのでしょうか。
ややネタバレ。

ちなみに、この作品の敢闘賞は、やはり何と言っても主人公の妹でしょう。
記憶が定かでなくなってしまった兄に代わり、荷物を受け取ったり、大学へ送ったりと、「本当に中学~高校の女の子の脚力か??」と疑ってしまうくらいの走りの早さを見ることが出来ましたから。

あと、この作品のラスト、あまり(いや、ほとんどかな~)観たくない構図があります。
一部のお耽美な皆様には、それでもアリと思われるかもしれませんが(爆)。

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2008/03/22 22:27 | Comments(0) | TrackBack(4) | Review - Movie

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