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2017/08/17 10:37 |
[Review] イントゥ・ザ・ワイルド
イントゥ・ザ・ワイルド恵まれた資産の家庭、優秀な成績、順風満帆な学生生活。特に注目するような波乱な人生を持つわけではないけれど、一見、誰もが羨む何不自由ない生活を送ってきた、ごく普通の青年。何が不満だろうと、皆がいぶかしむかもしれない。
唯一つ、両親の事あるごとに勃発する不仲を除いては     

俗世のあらゆる事象に辟易した彼は、荷物を抱え、一人アラスカへと向かった。これまでの地位も、貯めたお金も全て捨てて。人間が本来の姿として回帰するためには、自然に戻るのが一番だというのは彼の持論。そうかもしれない。でも、僕としては彼は逃げているとしか見えない。本来の彼は、「大切なものは捨てられない」、そんな弱くも優しい心根を持った青年なのではないかと思う。

だって、アラスカに向かうまでの道のりは、決して彼一人ではなかったから。
「捨てられないもの」ができる瞬間は、彼がアラスカへ向かう決意をし、到着するまでの間に何度もあった。どうしてそれが芽生えなかったのか。そこに、彼の『弱さ』というものが垣間見えているように思う。


この作品を振り返るたびに思うのは、「人間は決して一人では生きられない」ということ。「これまで先人達が築き上げてきた知識と経験は、一人で成しえたものではない」ということ。集団で生きる人間ならではこそ、共に生きる人が傍らにいる時が強い。人間は、一人で生きるにはあまりにも弱いんだ。そう思わせてくれる瞬間は、これまでに何度もあったのに。

多分、これまでの彼の目には、周囲は「自分が得た力は、全て自分で築き上げてきたものである」というふうに見えたのだろう。とりわけ、両親の不仲を垣間見て。恵まれた環境であるからこそ、周囲もそう捉えて疑わない人が多かったのかもしれない。
でも、旅の途中で出会った人々は、多かれ少なかれ一人で生きることに対する『限界』と『弱さ』を曝け出しているように思える。人は依存するものだ、依存しあうものなんだ。独立して生きるのは確かにかっこいいけど、時には甘えてもいいんじゃない? 何となく情けなく聞こえても、それが人間として生きる上での真実。

でも、彼がその真実に気づくのは、事切れる直前だった。死ぬ間際に、初めて気づいたのかもしれない。自分も、弱い存在である人間の一部だということに。


自分の身体も、自分の命も、自分の人生も、自分のものに見えて自分だけのものではない。コントロールするのは自分だけど、そのコントロール次第で、自分以外の存在にも大きな影響を与えることもある。自分は、誰かと共有すること築き上げられている。苦しくなるくらいそう思わずにはいられない作品だと思う。

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2008/09/18 22:01 | Comments(0) | TrackBack(0) | Review - Movie

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