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2024/04/20 01:16 |
[Review] アース
earth『DEEP BLUE』は海洋動物、『皇帝ペンギン』はタイトルの通り主に皇帝ペンギン、『ホワイト・プラネット』は北極圏に住む陸上・海洋動物に焦点を当てたドキュメンタリーを映しています。そして、これらの作品で共通している事は、必死で生き抜こうとする生物の強さ、外的や自然環境の厳しさを物語っています。
『ホワイト・プラネット』は、それに加えて、自然環境破壊の魔の手を、生きも絶え絶えに、それでも尚もがきながら生き抜こうとするシロクマをはじめとした生物が、元凶である人間達に突きつけています。

『アース』も、これまでの生物界を映し出したドキュメンタリー映画と同じように、生物の生きようとする強さ、外的や自然の厳しさを物語っています。しかし、その範囲は、北極から赤道を通過し、南極に至るまでの全て。これまでのように、動物だけではなく、植物、海、そして地形に至るまで。
勿論、全ての生物、全ての自然環境を映し出すことは不可能ですが、厳しい環境の中でも必死で生き抜く生物達の生命の輝きは、有り余るくらいに美しく、神々しくも思いました。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のフルオーケストラも手伝ってか、多少脚色が入っているように思えるものの、映し出される全ての映像の美しさ、神々しさに、目を見張る事は間違いないでしょう。


この作品を鑑賞している最中、あることを考えていました。
それは『テラフォーミング』。人が住めない惑星を地球と似た環境に造り変える、『惑星地球化計画』。これまでSFの世界でしかない計画が、現実の科学を駆使して真剣に議論されているそうです。最も計画を遂行しやすい惑星として、火星が挙げられているわけですが……

この地球でさえ、今の姿になるのに46億年を費やしたというのに、たかが人間の科学の力で、数百年、数千年の時間で、地球と似た環境を造り出すことができるのでしょうか。

地球に住まう生物や、例え生物でなくても大地や海洋というのは、独立した環境を営んでいるようで、実は全て繋がっているんだと思うのです。食物連鎖だけでなく、大気の流れや海水の蒸発による降水、川の流れ、大地の形成、変わり行く環境の中で、生き抜く為に己を変え、また適応化していく進化。ポッといきなり自然界の営みができたのではなく、またそれぞれが大なり小なり関わって、今の自然界のサイクルが出来上がりました。
そのサイクルに歪みを入れたのが、人間。そして、今でもその歪みは日々大きくなっていく。時には、その歪みを正そうとする行いでさえ、余計な歪みを生じてしまう。

結局のところ、人間も、自然界のサイクルの一つの歯車なのではないのでしょうか。
人間以外の動植物は、自然の力に敬意し、または恐れ敬っている。自然の猛威と戦いながら必死にもがきはするけれども、決して自然を掌握したり、支配しようとはしていない。それは、自分達は決して自然に『勝てない』ことを知っているから。
人間も同じ。だから、色んなところで、自然のしっぺ返しが襲ってくる。
人間は、これからもきっと、彼等と同じように、自然界の支配下に置かれるのでしょう。実際に『テラフォーミング』が実現しようとも、きっと歪んだ形の、『到底地球とは似ても似つかない星』になってしまうのかもしれません。


この作品は、これまでの自然界ドキュメンタリーと同じように、何よりも『自然の叡智』はこんなにも美しく、厳しく、残酷で、でも時には穏やかで優しいことを物語っています。
美しい星であることを願うか、それとも人間だけの都合で営まれる星にするのか。選んだ先の未来は、一体どうなるのか。目の前に映し出される映像が、それを一人一人の人間に尋ねているようにも思えました。

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2008/01/12 13:34 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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