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2024/04/18 21:26 |
[Review] ミス・ポター
ミス・ポター可愛いウサギを見ると「ピーターっ」と呼んでしまう僕(←「変態」とか言うな)も、小さい頃はピーターラビットによく触れていました。遠い昔なので話こそはほとんど覚えていませんが、登場する動物の愛らしい表情や仕草は、今でもよく覚えています。
これまでに全世界で1億部のベストセラーを誇る『ピーターラビット』シリーズの原作者ビアトリクス・ポターは、18世紀から19世紀にかけてのイギリスの上流階級の家に生まれ育った、生粋のお嬢様。けれど、彼女が選んだ人生は、決められた結婚を経て、単に妻として母として家庭に収まるのではなく、自立したアーティストとしての人生。何不自由なく育ち、縁談次第でこれからもその裕福な生活が約束されるにもかかわらず、『働く女性』としての道を選んだのは、彼女が持つ夢と情熱に他ならないからでしょう。
そしてそれが、ピーターをはじめとするキャラクターに魂を宿し、イギリスの片田舎よろしく、のどかでほのぼのとしながら、活き活きとしたキャラクターを創り上げることが出来たんだと思います。

あれだけ想像力豊かなキャラクターや物語を描けるのですから、内向的な性格かと思いきや、意外と頑として譲らない意思を持っていたのですね。少女時代から豊かな自然に囲まれて育つことで、彼女ならではの作風が徐々に形成されていく過程を、映画の中で取り上げていますが、その作風があまり変わらない。画家にしたって音楽家にしたって、果ては漫画家にしたって、「今回はこの作風で描いたので次はあの作風で」というのを多く見かけますが、一貫して同じような作風を描き続けるというのは、現代では割と珍しい事。今でもそんなアーティストはいることはいますが、やはり古くから愛されている、もしくは人気があるアーティストが多く、新参のアーティストは、まず自分のアートが売れる為に、よもや致し方なく作風を変えざるを得ないことも多くあったことでしょう。
ましてや、当時の社会があまり関心を寄せなかった「女性の職業における独立」。児童文学のベストセラーとして駆け上がったとはいえ、最初は苦しかったに違いありません。それでも、僕が見る限りでは、ほとんどその作風を変えていない。それこそ、彼女の持つ頑とした譲らない意思、ポリシーを持っているが所以なのでしょう。それだけ情熱を傾けていたからこそ、今世界中で愛されているのかもしれませんね。


以前『ハイジ』を観た時、主人公は『ハイジ』と『アルプスの自然』と申しましたが、『ミス・ポター』も同じような印象を受けます。もう一つの主人公は、イギリス・ウェールズ地方の大自然。あまりにも雄大で美しくて、思わず「ほぅ……」と溜息をついてしまいそうなくらい。
むしろこの大自然に触れて、何一つ想像力が湧かない、働かせることができない方がおかしい! って思ってしまうくらいです。
アーティストになることも反対されて、恋をした相手もビジネスマンであることを理由に反対されて、やっと婚約にこぎ付けるも若くして病気で先立たれてしまって。そんな苦難も乗り越えられたのも、彼女を愛した友人やキャラクターの他に、変わらず彼女を見守っている大自然があったからかもしれません。晩年、イギリスの大自然の保護に全力を費やしたのも、作家人生を切り拓く上で、切っても切れない絆のようなものが、彼女と大自然との間にあったのかもしれません。

どうでもいいことなのですが。

同じ『POTTER』にしても、この作品は『ポター』、方やかの有名な魔法少年は『ハリー・ポッター』なんですよね。。。
英語の綴りは同じなのに、日本語にすると『ッ』を入れたり入れなかったり。微妙なところです。

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2007/09/15 22:18 | Comments(2) | TrackBack() | Review - Movie

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コメント

 TBどうもありがとうございました。

 いわれてみれば、少女時代からを含めて一貫した作風で、
 たしかに現代では稀少なタイプもしれません。
 でも、彼女自身はきっとそんなことまったく意識してなくて、
 ただ自分の愛する友達を描き、
 物語のなかで動き回らせていただけなんでしょうね。
 彼らへの愛情、情熱が伝わってきました。

 イギリス湖水地方の風景も、すばらしかったですね。
 おっしゃるとおり、もう1つの主役だったと思います。
 映画を観終わった今では、ポターそのものにも見えてきます。
posted by miyukichiURLat 2007/09/30 16:28 [ コメントを修正する ]
Re:こんにちは♪
ご来訪・コメント有難うございます。

『作風が変わらない』というのは、自分自身が本当にその作品が好きで、思い入れがあって、且つ、『自分の世界』というものを強く抱いているんでしょうか。
世界中で今でも愛される作品を描く方というのは、それだけ、自分の持つ世界に対する強い想いを持っていらっしゃるのかもしれませんね。

> TBどうもありがとうございました。
>
> いわれてみれば、少女時代からを含めて一貫した作風で、
> たしかに現代では稀少なタイプもしれません。
> でも、彼女自身はきっとそんなことまったく意識してなくて、
> ただ自分の愛する友達を描き、
> 物語のなかで動き回らせていただけなんでしょうね。
> 彼らへの愛情、情熱が伝わってきました。
>
> イギリス湖水地方の風景も、すばらしかったですね。
> おっしゃるとおり、もう1つの主役だったと思います。
> 映画を観終わった今では、ポターそのものにも見えてきます。
2007/10/03 20:29
TBありがとう。
少女時代のデッサンが少し出てきましたが、彼女の画風の基本的なものは、少女時代のデッサンからきているんでしょうね。
posted by kimion20002000URLat 2008/04/22 23:37 [ コメントを修正する ]
Re:画風
ご来訪&コメント有難うございます。

そうですね。鑑賞したところ、少女時代からすごい空想好きの女の子のようでしたし。しかし、それまで書き溜めた自分の夢を、書籍として実現し、それが全世界に知れ渡る、というのは感服の極みです。

>TBありがとう。
>少女時代のデッサンが少し出てきましたが、彼女の画風の基本的なものは、少女時代のデッサンからきているんでしょうね。
2008/06/09 18:53

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