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2024/03/29 23:15 |
[Review] デスノート 後編 -the Last name-
デスノート 後編 the Last name『デスノート 前編』は、言わばプロローグ。
死神が落としたデスノートとは何なのか。それを操る主人公でありキラでもある夜神月は、どんな人物なのか。
キラとして一切表に出ず、犯罪者達を粛清し続ける裏で、最後の切り札としてキラを探し出す名探偵・L。その動きを見透かすかのように犯罪者達を次々に裁き、「自分をキラだと疑う」余地すら与えないように、Lに近づき、葬ろうとするキラ。
ゆっくりと、しかし確実に対決の時は迫っている。

そして『デスノート the Last name』では、ついに二人が出会う。如何に相手の思惑を出し抜き、事前に備え、勝利に導くか。静かに、鋭く、そしてスピーディに『キラ事件』の核心に迫る。
誰一人予想し得ない驚愕の結末。果たして、誰が死に、誰が生き残るのか     



という過度の期待は、ある意味危険を伴うということを、この作品で再確認致しました。特に、原作ファンの方は要注意なところがあります。
勿論、原作コミックス『DEATH NOTE』を読んでからこの作品を観るのは、ちっとも悪くありません。『デスノート 前編』に比べれば、物語の展開は明らかにスピーディになっていますので、より深く理解しながら鑑賞するためにも、原作を読んでおくのはいいことだと思います。
ただ、僕にとって大誤算だったのは、原作を「知り尽くしている」こと。既にコミックスも何回と繰り返し読んでいるほど、『DEATH NOTE』にははまっておりますので、原作で使われたトリックや手口、心理戦の応酬の数々は、大方把握しております。その上で『デスノート the Last name』を鑑賞すると、その知識が逆に仇になってしまいました。

そういう意味では、映画版ならではのオリジナリティをもう少し出して欲しかったな、というのが正直なところ。前後編通して、最もオリジナリティ溢れる部分は、前編の『秋野詩織の死亡シーン』でしょうか。やや無理はあったものの、映画としてのオリジナルな展開として楽しめたと思います。
まあ、オリジナルである原作の世界を壊して欲しくない、という意見も少なからずあったようなので、仕方なかったのかもしれませんが。
でも、ラストの命を賭けた衝撃的な展開は、誰もが釘付けになること間違いありません。


一方で、実際にキラが出現し、犯罪者を次々に殺していくということが、もし本当に実際の世界で起こったときの描写は引き込まれ、そして凍り付いてしまいました。
世に蔓延る犯罪者が粛清され、普通に生きる人たちが安堵する一方、それはもはや究極の監視社会。どんな思想も、どんな反対意見も、キラの前では全て塵芥のように屠られる。次第に、人々は考えることを止めてしまう。
   「キラについていけば、平和な生活が保障される
   「キラを信じていれば、安全な未来が約束される
人間、全てを人任せにすることほど楽なことはありませんから。一方向的な思想に染まり、考えることの一切を止めてしまった人間社会は、もはや廃れていく一方でしょう。

かく言う僕も、世間を震撼させる凶悪犯罪の数々をニュースで見て、「キラがいれば…」と思ってしまうこともなくはありません。が、仮にいて犯罪者を殺していくとして、この作品に出てくる一般市民のように、何が正しく何が間違っているのか、自分で考えない抜け殻のような社会になってしまうのであれば、もうそれは『正しい』『間違い』の範疇を越えている。

ただの、凶悪殺人者としか、思えない。


というわけで。
原作を知っている人も知らない人も、思う存分楽しめる映画であることは間違いありません。が、必要以上に原作を引きずらないよう、映画としての『デスノート the Last name』をお楽しみ下さい。
そして、是非皆さんで考えてみてください。「本当に犯罪者のいない社会を作り上げるには、一体どうすればいいのか」を。

原作『DEATH NOTE』を必要以上に引きずっていると、見落としがちなのが、Lと夜神総一郎との関係です。パンフレットを見て、金子修介監督のこの映画に込めた意図を読んで、「ああ、確かにな」と思いました。最初は反発しながらも、キラを追い詰めていくにつれて次第にその力を認め合う二人……って、どこかの恋愛映画ではありませんのでご注意を(笑)

夜神総一郎には、夜神月という実の息子がいますが、Lにも、物語が進むにつれてLに対しても息子のような態度を取っていきます。随所に見られる、二人に対する息子としての態度。そして、ラストの「夜神月と夜神総一郎」「Lと夜神総一郎」の対比は、今思い出すと、それは一つの現代の家族関係を反映しているのかもしれません。

そう思うと、少し泣けてきます。

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2006/11/04 12:37 | Comments(4) | TrackBack() | Review - Movie

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コメント

TBどうもでした~♪
僕は、彼女にコミック借りて1回読んだ程度なんで、そんなにトリックとか詳しくありません。それにもう遠い記憶なんで忘れてる部分も多々ある・・・
彼女は、僕に比べたらファンの度合いが強いので、いろいろと言いたいことあるみたいでしたが・・・

個人的には、ラストは好きでした~♪エエ感じに纏まってたと思います。
posted by はっちURLat 2006/11/14 07:45 [ コメントを修正する ]
Re:彼女は・・・
ご来訪・コメント有難うございます。

>彼女は、僕に比べたらファンの度合いが強いので、いろいろと言いたいことあるみたいでしたが・・・

何となく分かります(笑)
僕も何度も繰り返し読んで、「●巻に~~という内容のトリックが使われている」と暗記できるくらい覚えてしまってますので、特に『デスノート 前編』では確かに言いたいことがちらほらとありました。
でも、映画という限られた時間内に収める、という難行がありますから、割り切って観賞しました。それでも、かなり濃密で観る人を興奮させる作品になっていたと思います。

コミックスは難しくて分からなかったけれど、映画はやや端折り気味だけど分かりやすいしこっちの方がいい、と仰る方、多いですよ~。
2006/11/14 11:14
映画の大ヒットでますます絶滅危惧種に指定されそうな原作未読者です。
通常の「絶滅危惧種」は他の人が絶滅を心配してくれるんですけど、「デスノート」未読者はキラさまに粛清されるのを本人が危惧するという点でも、極めて貴重な種です。

犯罪を少しでも減らすために、センセーショナルな事件をセンセーショナルに扱うマスコミの報道姿勢を正して頂きたいものです。
まずは、サクラテレビから(笑)。

てなわけで、TBありがとうございました。
posted by にらURLat 2006/11/15 17:36 [ コメントを修正する ]
Re:未読者
ご来訪・コメント有難うございます。

いえいえ、実はまだ原作未読者は多くいらっしゃいますよ。僕が勤めている会社でも、ほとんどが未読者です。
徐々に否応無くデスノート・ワールドに染めていく予定ですが(笑)

物語が進むにつれて難しくなってきますが、サスペンス小説よろしく睡眠不足になること間違いなしの面白さです。
もしお時間がありましたら、是非お読みになってみてください。

>映画の大ヒットでますます絶滅危惧種に指定されそうな原作未読者です。
>通常の「絶滅危惧種」は他の人が絶滅を心配してくれるんですけど、「デスノート」未読者はキラさまに粛清されるのを本人が危惧するという点でも、極めて貴重な種です。
>
>犯罪を少しでも減らすために、センセーショナルな事件をセンセーショナルに扱うマスコミの報道姿勢を正して頂きたいものです。
>まずは、サクラテレビから(笑)。
>
>てなわけで、TBありがとうございました。
2006/11/15 21:14
Cyberさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

本当に「デスノート」人気は凄かったです。いや、凄まじかったです。デポが良く行くMOVIXでは満席をおろか、座席が半分埋まることも稀なんですが、この「デスノート the Last name」に関しては各回とも初日は満席だったようでグッズに至っては初回の上映開始前にはすべて売切れになっていました。

原作は未だに読んでいないので、映画との相違点などは判らないのですが、ラストシーンに関しては映画ならではのひと工夫があったとのこと。上手く完結していたとは思いますが、出来ればやっぱり続編も…。スピンオフ企画については、Lのキラ事件以前の話を描くような事が書いてありましたが、ミサミサのスピンオフなんてのもちょっと観てみたい気がするデポだったりもします。
posted by デポURLat 2006/11/18 22:19 [ コメントを修正する ]
Re:お返事遅くなってすいません
はじめまして。ご来訪・コメント有難うございます。

デポさん、コミックスはまだ未読でいらっしゃるんですね……
すみません。。。若干ネタバレ的なことをブログに残してしまいまして。。。(汗)
でも、『ダ・ヴィンチ・コード』をはじめとするサスペンス小説と同じように、不眠症になる事間違いなしの面白さを誇るコミックスですので、是非是非、お読みになってください。

僕の近所の映画館は『ユナイテッド・シネマ』ですが、未だに満席状態が続いています。でも、チケット売り場は少し落ち着いてきた感じでしょうか。
2006/11/19 09:19
松山ケンイチの怪演に感心しました。
原作も読んでみようと思いました。
posted by タウムURLat 2007/11/02 13:16 [ コメントを修正する ]
Re:TBさせていただきました。
はじめまして。ご来訪&コメント有難うございます。

松山ケンイチの演技はすごかったですよね! 藤原竜也も結構よかったのですが、Lの成りきりには驚愕しました。
原作は前後編仕立てになっていて、前編は面白いです。後編も面白いのですが、話が壮大になりすぎている感もありまして…

でも、是非是非読んでみてください。

>松山ケンイチの怪演に感心しました。
>原作も読んでみようと思いました。
2007/11/04 21:50

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