lobbyist
-[名][C] 議案員陳情者、ロビイスト
ある特定の主張を有する個人または団体が、政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的政治活動を行う人物。
『ロビイスト』という単語にまつわる資料を見ていると、やはり揃いも揃って述べられているのが、「食わせ者が多い」ということ。
多くの企業で自身の利益に沿った主張を広めるために、ロビイストを雇っているところも多いが、時にその活動が政治腐敗をもたらす可能性もあるため、一定の規制を設けている国もあるんだとか。
まあ、それもそのはず。この映画に登場する、アーロン・エッカートが扮するニック・ネイラーも、
■ 論点をすり替える
■ 相手の揚げ足を取る
■ 極論は口にしない
といった、最高の頭脳と最悪の根性の持ち主。ある意味尊敬するけど、別の意味で友達にしたくないタイプですよ。飽きは来ないと思うんですけど…(笑)
映画に登場する、何かと世間で嫌われ、市場規模の縮小に瀕しているタバコ産業にしても。
自分がPRするタバコが、無害とも有害とも言うけどビミョーにあやふや、むしろ相手の欠点を挙げ連ね、最後は「自分で考えなさい」。
「自分で考えなさい」。ええ、ごもっとも。でもこの言葉ほど便利なものは無いんですよね。だってどの角度から見ても、聞き手の意思を尊重した言葉なんですから。その言葉の裏に巧みに仕組まれた罠に気づかないまま、「まあ、結局は個人の選択に任されるんだから、いいんじゃないか」と考えるようになり、「断固タバコ反対!」という考えは薄らいでいく。
でも、この映画は意外にも、現代社会に対するメッセージも込められていると思います。
世の中には色々な規則や反則事項等がありますが、それらに対して変に理屈めいた説明をするから、どんな規則にも存在する抜け穴を、結局のところ出し抜かれてしまう。また、今の時代、至る所に情報が蔓延し、同じように情報操作も蔓延しています。
本当にその規則を守らせたい、反則行為をやめさせたいと思うのであれば、理屈ぬきに「ダメなものはダメ」というように教え込むのも、一つの手ではないかと思います。少なくとも、昔の日本社会ってそういう風潮がそこかしこにありましたから。
「自分で考える」というのはエラくエネルギーを使います。同時に考える上での『基準』や『材料』も必要だから、あらゆるところにアンテナを張ることも忘れない。でも、生きていく上で必ず必要になるし、必要にならなくなることはありません。
色んなものが洪水のように襲い掛かってくる時代。いつ自分が飲み込まれるか分かりませんから。コメディテイストの映画でありながら、結構そういう大事なところ、気づかせてくれる映画です。