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2017/03/26 23:58 |
[Review] コクリコ坂から
鑑賞の コクリコ坂から前半は、本当に「何でこんな作品を選んじゃったんだろう…」と思ってしまいました。
時代は高度経済成長真っ只中。翌年に東京オリンピックを控え、どこかまだ『戦後』という時代背景の情感を漂わせつつも、徐々に徐々に、近代化へと進みつつある世界。
と、それはそれでいいものの、問題はその世界を舞台にした主人公達のバックグラウンドの説明の無さ。観客は、さもその主人公の取り巻く世界は既に知っているかのように、前触れも無く放り込まれる。主人公達の交友関係、親子関係、学校生活、そこで起こっている問題。例えば、『カルチェラタン』が最初何を意味しているのか分からず、物語の途中でその意味がはっきりと分かったものの、何もかもが唐突過ぎて、理解する間も与えず次から次へとシーンは続き…

しかし、物語が進むにつれて、この作品は「理解する」作品ではないことに気づきました。この作品は、「感じる」ための作品であると。これは、高校に通う普通の男女の青春の物語。鑑賞者によっては、既に過ぎ去った遠い出来事。まだの人は、これから訪れる出来事。単純に恋愛一辺倒ではなく、平凡で、どこにでもいそうで、未熟だらけの学生達でも、力を合わせれば何かを成し遂げられる、たとえそれが、国を救うとか世界を救うとか、そんなものから程遠くても、彼等の心の中で、人生の中で、キラリと光る青春。
どんなにモノが豊かになっても進歩しても、人間の根幹と言うものは、そんなに容易く変わらない。この物語の世界観は、単に学生達の青春にちょっとスパイスを加えただけ。覚える必要も、理解する必要も無い。変わりゆく世界の中で、それでも変わらずにいる真実。ただ、彼等の生きたその道筋を、感じてもらえればいい、そんな想いが込められている作品のように思います。
ある意味ストレートではなくて、回りくどい描写だと思いますが。決して万人に受ける為の作品ではないと思います。むしろ、そんな商業主義的な作品はこの世にごまんとあるから、わざわざその潮流に乗って自分達もそんな作品を作ろうとはしない。作る必要も無い。自分達が描きたいものを、描きたい通りに描く。そんな作品。

そんなわけで、この作品はきっと好き嫌いがはっきりと分かれる作品ではないかと思いますが、僕は好きです。むしろ、物語の後半があるからこそ、前半の、はっきり言ってしまえば『つまらなさ』『平凡さ』に血が通うわけだし、後半だけであれば、ただ単に高校生活の一種の変化だけを綴っただけ。前半と後半の絶妙なバランスがあるからこそ、作品の『伝えたいこと』が成り立っているのではいか、と思います。


お父上が宮崎駿氏である、宮崎吾朗氏の二作目の監督作品。
前作『ゲド戦記』は大変な酷評で、原作者からも厳しい意見が出されたという曰くつきの作品なのですが、僕個人としては好きです。ただ、『ゲド戦記』というタイトルを冠してしまったのがいけなかったのではないかと。
偉大すぎる父親からの脱却と、それでもどこかで父親に依存したい気持ち。強力な環境が周囲にあり、今にも自分の存在が消え入りそうな中で、如何に自己という存在を確立していくか、もがき苦しむ、というメッセージ性が感じられました。もし、吾朗氏のオリジナルの作品であれば、それほどの酷評は無かったと思うのですが。あれほど「二世には才能が無い」なんて心無い発言が飛び交いつつも、これまでアニメどころか映画の世界にも踏み込んだことの無い彼が、一つの作品を世に出したのですから。
『コクリコ坂から』は、お世辞にも大衆受けしない作品。芸術家のエゴイストと、お客さんがそれを共有できなければ成り立たない、薄氷を踏むかのごとく、の作品。その作品を作りながら、『スタジオジブリ』としてのブランドとプライドを保ち、且つ食べていく、というのは、並大抵のことではないでしょう。映画のバックボーンを理解しながら鑑賞するのも、一つのスタイルですし大事なことですが、何よりも『感じる』ことに重点を置いた今作。今後は、どんな作品を展開していくのでしょうか……

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2011/07/17 11:46 | Comments(0) | TrackBack(26) | Review - Movie

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