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2024/04/24 02:15 |
[Review] ロビン・フッド
ロビン・フッド安易な3D化は、商業主義に踊らされている証拠

といった類の記事やニュースリソースが、洋の東西を問わずに大々的にリリースされたのは、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』が空前の大ヒットをしたのがきっかけ。それまでにも『3D』として銘打っている作品はいくつかありますが、どちらかというと所謂子供向けのアニメ的要素が強い作品が多く、一般的な大人が『3D』の世界観・奥行きを存分に楽しめる作品、という意味では、そのパイオニアの存在として、『アバター』が取り上げられていると思います。
しかし、今日までに幾多の映画がリリースされ、繰り広げられる人間ドラマやアクション・エンターテインメントといた『コンテンツの流れ』がお決まりのパターンとなってしまい、頭打ちとなっていく。その一方で、映画の表現やドラマの進行にも斬新さが求められる。「どんな作品も、たとえ話題性があろうとも、売れなければただのアマチュア作品」として見下されてしまうのであれば、それが安易な選択とはいえ、『3D』の表現に足を踏み入れてしまう、というのも吝かではないかもしれません。
しかし、(僕は未だに素人の域ですが)目の肥えた観客からすれば、安直な3D化は鑑賞すれば分かってしまうもの、みたいで。逆に3D化にすることで、評価を下げてしまったり、敢えて2Dの作品を鑑賞したり、というところがあるようです。事実、僕自身も、『タイタンの戦い』(リメイク)や『アリス・イン・ワンダーランド』は、2D鑑賞で正解と思ってしまいました。また、まだまだ3Dへの抵抗感もあり、『3Dを前提』として制作された作品にも、少し抵抗感があります(観てないくせに批判出来る立場ではありませんが…)。

しかし、その逆は?
「この作品、是非3Dで観たい!」と渇望してしまう作品は、これまでにあったっけ? と思い返してみると、多分あるんでしょうけれどすぐに僕の頭の中で見出せなかったのですが、

思い返すまでもなくこの作品を鑑賞し終えて思いました。「是非3Dで観たい!」と。

リドリー・スコット監督の作品の鑑賞は僕の映画鑑賞史の中ではかなり浅い方なので、あまり大っぴらに自分の偏食歴を語ることは出来ません(というか恥をかいてしまいますので…)。
『超大歴史スペクタクル』のジャンルならではこそ、というところもあります。そのスケールの大きさが、逆にもっと奥行きを持たせた作品として鑑賞したい! と思ったのかもしれません。


ロビン・フッドも、伝説上の英雄(時代背景は事実ですが、彼自身の実在を決定づける資料・文献は無いそうな。その後の様々な作品の中では、モデルとなった実在の人物はいたらしい)であり、作品自体もフィクションです。が、登場する人物や風景、家屋、動植物に至るまで、架空の存在はほとんどと言っていいほど無く、細かな(微細とも言っていい)ディテールにも及びながら、それでも壮大なスケールを描き切った、というところに、奥行きのパワーが漲っていたのでは、と思います。『実在しない架空の生物や現象』は、どうしても想像力で補うしかなく、またその想像力が映画としての表現力とマッチしない、あるいは追いついていないと、どうしても歪な表現に仕上がってしまうのではないか、とも思います。
その点で言えば、たとえロビンフ・フッドが伝説上での存在とはいえ、彼と彼の周囲の人間性・人間関係、12世紀当時の環境・現象、歴史背景に至るまで、リアリティに富んでいるし、また非常に精緻に描かれていると思います。リドリー・スコット監督が12世紀の世界を目の当たりにしたわけではないと思いますが、12世紀の世界観を、あたかも目の前にあるように、『信じ込ませる』というより『疑う余地がない』くらいにまで作りこんでいる、という意気込みが感じられます。

一方で、これは『グラディエーター』にも同様のところがある、『腐敗した権力への対抗』の縮図。少々出来すぎなところもありますが。
正義のアウトローという、ちょっと言葉尻だけでは矛盾しているように思えますが、全体的に自分の突き進む道は貫き通し、そしてその道すがらで出会った人たちには義理堅いのが、ロビン・フッドの持ち味。ただ単に悪性に嘆くだけでなく、また失望するだけでもなく、自由と権利を得るためならば、どんなことも諦めない。その一方で、最初の方こそ利己的な振る舞いで生きていたものの、十字軍遠征からの凱旋後に垣間見たジョン王の傲慢な振る舞い、それでも王につき従わんとする臣下の真摯な忠誠心の狭間で、「一枚岩の国を作るには」という考えが芽生える。
形成された『ロビン・フッド』の人間性の象徴と生き様は、たとえ時代を超えても、言語や民族、習慣が違っても、どの世界にも惹きつけてやまない魅力があるに違いありません。


登場人物の人間関係も、やはり不勉強の僕では最初は戸惑い、懸命に理解に励みましたが、幸い物語もそれほど複雑にはなりすぎず、明快な展開として描かれているし、笑いを誘う場面もあります。大ドンデン返しといった展開はないものの、壮大なスペクタクルの描写は必見の価値あり、と思っています。

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2010/12/12 13:53 | Comments(2) | TrackBack() | Review - Movie

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コメント

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posted by 日本インターネット映画大賞at 2010/12/30 01:05 [ コメントを修正する ]
少しご挨拶が遅れましたが、本年もどうぞよろしくお願いします。
なるほど!これを3Dですかぁ。
確かにそれはあたしも感じました!
3Dもアバター付近でかなり盛り上がったのですが、
最近ちょっと落ち着いて来て、2Dがあればその方が安いし、
よほどのことがないと2Dでもいいかな?って感じになってきています(;・∀・)
でも、これなんかは確かに3Dだったら、さらに面白いかもな?
ってのがありましたね。
posted by miyuURLat 2011/01/16 19:19 [ コメントを修正する ]
Re:あけましておめでとうございます
miyu様:

コメント有難うございます&いつも当ブログにお越しいただき、誠に有難うございます。
3Dについて、同じ感想を持っていただき、私も嬉しかったです。
ただ、ご存知とは思いますが、これまでのラインナップを見ると、3D化された作品は、予算的にも潤沢な作品や、エンターテインメント性が前面に出ているもの、つまりは高水準の興行が見込まれるものが対象になっていますね。そのため、3Dの題材としてピッタリの歴史大スペクタクル等を3Dで見たい、としても、その予算に見合う製作が出来るかどうかが、一番のファクターであるように思えます。

あとは、監督や製作陣の趣向等にもよると思いますが……
まだまだ3Dには、越えるべきハードルが多くありそうですね。
2011/01/16 22:26

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