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2024/03/19 20:03 |
[Review] 天使と悪魔

天使と悪魔『ダ・ヴィンチ・コード』の続編となる本作(原作は『天使と悪魔』の方が先で、主人公は同じだが作品としては別個)。

宗教の弾圧によって抹殺された秘密結社『イルミナティ』が、宗教に対し復讐を図るために復活。コンクラーベの最中に次代の教皇に選ばれるはずの枢機卿を次々と攫い、猟奇的なまでの殺人を繰り広げる。この殺人劇を企てた者の影には、教会の科学に対する軟化を忌み嫌い、独善的なまでに宗教を守り、宗教の優位性を謳っているが、その者自身の存在そのものが、科学の恩恵の賜物であるとは……
というのが原作の流れで、科学と宗教がこれまでにどれだけ対立していたか、というより、科学も宗教もどちらも人間の営みを探求するために生み出された存在で、これまでの人間の進化を促すために、両方必要である、ということが描かれています。

それに対し、原作の映画化となった本作は、『科学』と『宗教』の対立ないし両立という要素はほとんど感じられず、サスペンス・スリラーに絞ったと作品に仕上がったと思います。前作『ダ・ヴィンチ・コード』は、冒頭で殺人事件が発生したにもかかわらず、いつの間にか『聖杯』の存在の有無の謎解きに走ってしまった感があるので、サスペンス色はあまり感じられず、急ぎすぎた作品である、ただその一言に尽きてしまったのです。
ですが、『天使と悪魔』は時限爆弾式のサスペンス・スリラー。予告された時間に枢機卿が殺され、更に時間内に解決しなければ、ヴァチカンに仕掛けられた反物質によって大爆発が引き起こされる。そうやって謎を解きながら解決していることすら、黒幕の手の内であることも知らずに……
『天使と悪魔』も、やはり展開の速すぎる作品なのですが、その展開の速さが、むしろサスペンスの色を一層濃く見せています。「ゆっくりと細かく理解しよう理解しよう」としている間に、次の殺人が起こる、反物質による爆弾の期限が迫っている、というところが、鑑賞している側をより一層焦燥させます。本作は、原作を読んでいても面白い作品だと思いました。勿論、原作を読んでいない方が一層面白いのではないかと思います。


個人的に残念だったのは、原作で描かれた、黒幕となる存在のバックグラウンドの説明と、猟奇殺人の計画に及んだ動機が弱すぎる、ということ。そして、それに対するヒロイン、ヴィットリア・ヴェトラが切る啖呵。
他にも、原作には登場していた何人かの人物が、宗教家なのに科学によって救われた、宗教家であるが故に科学を受け入れられず、逆に不幸な人生を歩む結果となった、など、多かれ少なかれ『科学』と『宗教』の間で翻弄された人物が様々登場します。
『科学』と『宗教』は、決して相容れられない存在なのか、それともお互いを補い合える存在なのか。胸を打つ瞬間もあったけれど、映画ではそれが無かったのが残念です。サスペンス・スリラーに絞ったが故の結果かもしれませんけれど。。。

しかし、原作を読んでいる際もそうでしたが、映画作品を観て、ますますヴァチカンに行ってみたくなりました。勿論、謎解きの理屈抜きで、純粋に芸術作品や教会の鑑賞・観光ですが。


原作を読んだ方ならご存知かもしれませんが、『天使と悪魔』のクライマックス・シーンでは、今にも爆発しそうな反物質を処理するため、カメルレンゴがヘリコプターで天高く上っていきますが、そのヘリコプターにラングトン教授も同行します。しかし、そこから脱出するためのパラシュートは1つだけ。その1つを、カメルレンゴが使用して脱出します。
では、ラングトン教授はどうやって脱出するのかというと……

これ以上申し上げると、ネタバレになってしまうのでここで止めます(笑)が、実写映画ではどのような描写になるのかなと、公開前にワクワクしていました(←サディスト)。
しかし、残念なことにその描写はされず。。。
いや、反物質の爆発の際の衝撃波と爆風の中で、原作と同じようなラングトン教授の脱出方法だと、確実に死にますから。それだけは言えます。

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2009/05/16 23:15 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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