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2024/04/20 19:59 |
[Review] クライマーズ・ハイ
クライマーズ・ハイ【クライマーズ・ハイ】

登山時に興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態



作家・横山秀夫氏の小説『クライマーズ・ハイ』の映画化作品。
1985年8月12日 18:56、日本航空123便羽田発大阪行きのジャンボ機が、群馬県の高天原山に墜落。死者520人、負傷者4人の、世界最大規模となる未曾有の航空機事故が発生。この作品は、その事故を追う地方新聞社の視点から見た物語です。
ですが、この作品の主眼、最も伝えたいことは、題名にもなっている『クライマーズ・ハイ』でもなく、題材でもある『日航機墜落事故』でもなく、『仕事に対する姿勢』にあると思います。自分に与えられた仕事を、自分に任された仕事を、どれだけ真剣に向き合っているか、どれだけのプライドをもって取り組んでいるか。必要ならば先輩上司は一切関係なくとことんまでぶつかり、また必要ならば土下座をしてでも推し進める。自分が取り組んでいる仕事に、どれだけの価値を見出せているかがポイントとなる作品だと思います。

ある意味『働きマン』と方向性は似ているのかもしれませんね。『働きマン』はコメディタッチですが。自分が打ち込める、プライドと自信をもって取り組める仕事を前にすると、頭に麻薬か何かが流入されたように感じ、それ以外のものが見えなくなる。それでも自制できればいい方。時に暴走し、仕事仲間は勿論、友人や家庭にまでその暴走が波及し、いずれ崩壊へと導く。自分と周囲の関係だけでなく、いずれ自分自身さえも……。
そして時として自分の熱意は誰かからの嫉妬や反感を買う。非効率な前例主義を貫き通す上司陣も然り。自分の熱意の結果が全て押し通せるとは限らない。どんな仕事でも、一つの側面だけで遂行できるわけではないから。同じ新聞社に勤めているのに、同じ新聞を作っているのに、部署によってその見方・捉え方は全く違う。妥協すれば許されるのか? 自分が本当に掲載したい、読者に伝えたいことを捨ててまで? 全てを叶える魔法のような方法はありはしません。プライドとプライドのぶつかり合い・鬩ぎ合い・削り合いが、仕事を面白くもし、また厳しくもしていくのではないのでしょうか。

『短期間のバイトで高額報酬』『同じ労働量なのに正社員と派遣社員には大きすぎる格差』 等々、様々な仕事に対する謳い文句や社会現象が闊歩している現代。確かに報酬や賃金は生活していく上で大切ですが、同じくらい、仕事に対するプライドをどれだけ持てるか、どれだけ保てるかがも大切ではないかと思います。今自分が携わっている仕事が、どれだけ大切か、どれだけの熱意とプライドを持って突き進めて行くべきか、そういったこと考えさせる作品ではないかと思いました。


日航機墜落の事故は、照りつける暑い太陽の下で発生した、もはや悲惨と形容することもおこがましいくらいの大事故。この夏もまた、多くの遺族の方々が慰霊に訪れることでしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。

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2008/07/06 00:40 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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