全部はもちろんのこと、ほんの一部でさえも。
まぁ、この映画の世界を理解しえる人物は、北野武ただ一人しか居ないと思います。
『TAKESHIS'』という、前評判では「大スターの北野武」と「売れない役者のビートたけし」の2人が主人公として、いわゆる「二人称」的な視点で描かれている作品、と聞きましたが、
実際観てみると、むしろ「所有格」的な視点で描かれている、という表現が正しいかと思います。
それも、北野武の脳の中、という感じ。
本当に、彼の頭の中を彷徨い歩いている、という感じがしました。
独特の感性の持ち主の頭の中って、どこにも「整然」らしさがなく、混沌に満ち溢れているのでしょうかね…
『HANA-BI』や『座頭市』の時もそうでしたが、「現実」を演出するのがあまりにもリアルすぎて、逆に怖くなるシーンが、『TAKESHIS'』にもありました。
海外の映画にしろ日本の映画にしろ、日常を描く映画はいくつかありますが、観る者にとってはいささかの距離を感じます。まぁ映画の中ですから。
でも北野映画の日常は、あまりにも近すぎる。近すぎて時々怖くなります。「すぐそばで起こりうる日常のトラブル」が散りばめられていて(何だか度胸の無いコメントだな…)。
その分、ヤクザとの打ち合いの「距離の遠さ」は思う存分実感しました。
そういう、現実と虚構の距離のとり方が、彼の感性の恐ろしいところなのでしょうか。
そういえば。
宇多田ヒカルの『Be My Last』と同じように、最近の映画や音楽って、「一般ウケじゃないもの」が流行っているのでしょうか?
この『TAKESHIS'』も、多分好む人とそうでない人がはっきりと分かれることは間違いないと思います。
ピカソとかに影響されているのでしょうか? 実際のところは分かりませんが。
そして。
僅かではあるもののエロスが散りばめられているのに、未就学児鑑賞OK映画なのはどうかと。
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