地殻変動から日本が沈みつつも、日本人としての誇り、日本人であることのアイデンティティを保ち続けられるかを問う映画『日本沈没』のパロディ映画。予てからその奇抜溢れる題名が僕の琴線に触れ、「実際、日本以外が全部沈んだら、本当にどうなるんだろう?」と無駄に想像力を膨らませたものです。
が、実際に鑑賞してみまして、日本以外の大陸や国々が悉く沈み去り、難民がどっと日本に外国が押し寄せては、起こり得る様々な問題や事件を面白おかしく描いていますが、
正直、僕は受け入れられませんでした。
ムカついたどころか、心底腹が立ちまして。
勿論、題名からしてパロディ映画であることは分かっていましたし、『日本沈没』自身も政治色がわりと強い部分がある映画ですから、この映画も、政治的なパロディを少なからず盛り込んだんだろうな、とぐらいには思っておりました。
むしろそれ以前の問題。
政治云々どころか、民族そのものを侮辱していますよこの映画。難民として描いている外国人は勿論のこと、日本人そのものに対しても。
いくらパロディと割り切ろうと考えたとはいえ、観るに耐えられませんでした。
勿論、小ネタを効かせたギャグで笑いを取るシーンはいくつかありましたが。
でもきっと、製作者側も観客がこういうふうに考えることを予測していたんだと思います。
仮に地球規模の未曾有の大惨事が発生したとしても、助けた者が助けられた者を虐げる権利はどこにもないわけです。「大惨事が起こった後の世界が、こんなことになるのは絶対に認めない!」と強く観客に思わせること、いわゆる反面教師的な部分を強調するのが、この映画の趣旨だと考えます。
最後の方に出てくるてぶくろの童話は、それをうまく示唆していますね。当然のことですけれどね(笑)
それでも、この映画のパロディの表現の仕方が(個人的にですが)あまりにも濃厚で、製作者の趣旨が分かっていても、時間が経つにつれて頭の青筋が増えていきましたが。
パロディ映画、これからは十二分に気をつけようと思います。