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2017/10/19 17:51 |
[Review] ターミナル

ターミナル既にこの映画は何回も観ているのですが、特に目を見張るようなシーンがあるわけでもないのに、じんわりと心揺さぶられてしまいます。何故なんでしょうか?
1回目は、ただただ純粋に主人公の結末に感動して、2回目以降も、物語がどのように進んでいくのか既に分かっているのに、注意深く観察するように観ているつもりでも、それでも感動して。だからこの映画は、理屈全てを抜きにするような、観客を、観た後に温かくしてくれるような、そんな魔力を持った映画なんだと思います。


この映画が公開されたのは、2004年。アメリカ同時多発テロが発生した3年後。
テロが発生したときのアメリカは、テレビに映っている限りでは、皆が皆手を取り合って、団結して、共にアメリカ復興に頑張っていこう、テロに屈せずに戦っていこう、という意志を垣間見る事が出来ました。けれど、本当の意味で、内心までそうなってしまったとは限らない。いつ起こるか分からない恐怖に触れたとき、人は、誰に対しても疑心暗鬼になってしまう。勿論、それは肉親に対してさえも。
この映画で、空港に勤めている職員、警備、果ては行き交う利用客に至るまで、皆が皆、他人に『無関心』。自分のことしか考えていない。祖国から飛び立った瞬間、クーデターが発生し、祖国が崩壊してしまったため無国籍になってしまった主人公。パスポートもビザも、無意味は紙切れになってしまい、ニューヨークに出ることは勿論、帰国する事も出来ない。存在すら無意味と化してしまった彼に、誰も手を差し伸べるどころか、声をかけることすらもしない。
空港の監督官ですら、彼の扱いを他の所管にゆだねようとしています。

けれど、彼は耐えた。
不法に空港のゲートから出る方法もあった(あろうことか、監督官が面倒事回避目的に、それを誘導するシーンも足増したが……)。いや、むしろ彼はニューヨークで果たすべき約束を、「残念、できなかった」とするとか、更には約束を偽装することだってできた。その選択肢も、彼にはありました。
けれども、彼はその選択をしなかった。ただ耐えて、待って待って待ち続けて、いつかニューヨークに出られて約束を果たせる、その時が来るまで。

彼にとって、その約束とは、何ヶ月空港で出られるのを待ち続けても構わない、と思えるくらい、崇高なものだったのかもしれません。

彼は、別にスパイ活動のように、空港の監視網を潜り抜けてニューヨークの外に出たりとか、閉じ込められた間、猛烈に勉強して、今や空港の全てを任せられるだけのスキルを身につけたとか、そんなことはしていません。
ただ、果たすべき約束を全うすべく、ひたすら耐えて待ち続ける。勿論、お金が底をつくこともある。その時は、空港内でお金を稼ぐ手段を見つけて、ただひたすら、耐える。待つ。
その姿が、やがて空港で働く人たちの目に止まる。同時多発テロ以来、無関心の極みとも言うべき人達が、一人の男に関心を持ち始めます。ただ、耐えて待つ。それだけの事なのに。

この時、行き交う人々は、思い出したのかもしれません。
忌まわしい事件が起こってしまって以来、何をするにも怖くて、自分以外の誰かに、何かに手を広げる事を。関わってしまうことの恐れを。
彼が一番恐れている事は何か。それは、ここまで待ち続けて、結局約束を果たせない事。何の為にニューヨークまで来たのか。その目的を果たすまで、故郷に帰れない。目的の重さを、真摯に受け止め、必ず実行して帰る。そのひたむきな眼差し。それが、かつてのアメリカ国民の姿。ある意味での『ナショナリズム』なのではないのでしょうか。


勿論、『ナショナリズム』と言えば、ここではもう一つ。
空港の監察官は、彼をいわゆる『難民』として受け入れようとした。そうすれば、自分のところに無駄な責任をかぶる事はなく、別の所管に預ける事が出来る。そのためには、彼の証言が必要。「国が怖くて逃げてきた」「国を捨ててここへ来た」という。

でも、彼は言わなかった。「故郷は怖くない」
たとえ、クーデターの戦場と化していても。火薬と血の匂いで充満した国であっても。
彼は、本当に、大切だと思っているものは、死んでも守り通したい、そんな力強い意志の持ち主なのかもしれません。そして、その強靭な心に、いつの間にか人々は、彼についていったのかもしれません。



シリアスなテーマをいくつも内包した映画ではありますが、大笑いではないけど、クスッとうけを狙うようなコミカルな内容もあります。そして、前にも述べました、特別目を見張るようなシーンは無いけれど、それでも、彼のただただひたむきな、前向きな姿勢を見ると、じんわりと心が温かくなる映画だと思います。

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2005/01/25 21:45 | Comments(0) | TrackBack(2) | Review - Movie

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