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2025/02/03 01:08 |
[Review] インセプション
インセプションinception

[名][C] 始め、発端



これまでにも面白いと思える作品は多くありますが、ここ最近で、僕的に最も面白い作品がコレです。感想を申し上げる前なのですが、大変お勧めの作品です。
『夢』に関する作品の多くは、何といっても『夢オチ』。既に原作がある、あるいは映画化された作品があるものは別にしても、最後の最後で夢オチ、というのは、どんなに内容が面白く濃いものでも、

……… (゜Д゜;)

になりがちなもの。しかし、この作品は、敢えて最初から『夢の世界』であることを前提に、物語は進んでいくのです。

『結局は夢オチ』というのは、演劇で言う『機械仕掛けの神 (Deus ex machina)』のように、一気に物語を終息させるスーパーパワーがある、という意味では非常に行使しやすい。まぁ、鑑賞側としてはあまりにも腑に落ちないことが多々あると思いますが。その反面、最初から『夢の世界』が主たる世界と銘打っている作品は、既にその時点で縛りを設けているわけで、やり方次第では、ものすごく物語が希薄になりがちになってしまうと思うのです。
しかし、そこはやはりクリストファー・ノーラン監督の手腕と言うべきか。約2時間半の長めの作品となっていようとも、複雑ながらも明瞭で、スタイリッシュな作品に仕上がったと思います。
また、『夢の中の夢』、さらに深い深層意識の中に潜り込む、意識の層のより深いところに行けば行くほど『潜り込んだ者』が引き起こす行動に制限がかかり、その中で目的を果たすことになるからより複雑になり、さらには、上層意識の影響も色濃く出てくる。その意識の層の中での横展開と、上の層と下の層とで影響しあう意識の具現という縦展開の複雑な絡み合い方が、一層、観る者を引き付けて止まないと思います。

しかし、そんな中で突如として現れれば消え、その繰り返しを見せる、主人公を『惑わす存在』。
夢、つまり潜在意識の中に潜り込み、その中で理想の世界を作り出す能力であるがゆえに、その世界に入り浸ることそのものが、ある『罪』を作り出す。それは、『夢』と『現実』の区別がつかなくなること。『夢』の世界があまりにも理想的であるために、『夢』の世界を『現実』と思い、『現実』の世界を『夢』と思いこむ。『夢』こそが自分にとっての『現実』であり、『夢』こそが、自分にとっての『住む場所』である。その狭間に苛まれ、やがて人は廃人になっていく……。
『夢』の世界は、何も甘く優しく包み込むだけの世界ではない。その世界に入り浸ることこそが、『現実』での苦痛・辛苦に耐えられなくなってしまうことだってある。主人公は、それを知っていたのに……。


特別に、哲学的なメッセージ性が前面に出ているわけではない、スタイリッシュなアクション映画となっていますので、気軽に鑑賞することもできると思います。是非、ご覧になってみてください。

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2010/07/18 21:38 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] アリス・イン・ワンダーランド

アリス・イン・ワンダーランドティム・バートンが演出する『不思議の国のアリス』の世界だから、どれくらいギトギトグロテスクな世界が繰り広げられるんだろうと、ワクワクしながら観に行きましたが、

ちょっとパンチ力が足りないように思いました。

やはりこの不景気の荒波の真っただ中。多少なりとも商業主義的な要素を取り入れざるを得なかったのでしょうか。いや、だからこそ、これまでのティム・バートンらしい、あまりにもコアすぎる演出を取り入れた方が、かえって良かったのかも、と思ってしまうのです。

だって。
ティム・バートン作品のファンのマジョリティって、大体のところ、過激なくらいのグロテスク・パンキッシュ大好き人間じゃなんでしょうか? (偏見・差別意見を敢えて覚悟で言ってしまいました)



それはさておき。

ルイス・キャロルの児童文学『不思議の国のアリス』の主人公であるアリスは、大体10歳くらいの、想像力豊かな女の子。自分の空想の世界を広げ、そこで色々な不思議な体験をする。まさに、『永遠の少女』のシンボル的存在。
でも、この作品に登場するアリスは、そろそろ嫁ぐことや将来のことを考えなければならない19歳。空想の世界だけに生きることはできなくなり、否応無く、辛辣で厳しい現実の世界を目の当たりにする。かつて、自分がワンダーランドで不思議な体験をしたことなど、忘却の彼方にしてしまうほどに。

そんな、子供と大人の境目にいる彼女が、再びワンダーランドにやってくる。
ワンダーランドで彼女を待っていたのは、これまでその世界を築き上げてきた、不思議で変な登場人物たち(一部人じゃないのもいます)。
そこで彼女が学んだこと。このワンダーランドは面白い。でも、ずっと居られるわけじゃない。いつか、別れを告げなければならない。それは、自分が大人になればなるほど、現実を直視すればするほどに。
ワンダーランドの住人は、たとえこれから先、何年・何十年経っても、決して変わることなく、その世界に訪れた者を、呆れるくらい面白いやり方で迎え入れてくれるだろう。でも、その世界だって、決して綺麗事だけで全てが成り立っているわけじゃない。そう考えられるようになったのは、それだけ、自分が大人になったから。


『不思議の国のアリス』は、これまでにも幾度と映画化されてきましたが、この作品は、これまでとは似ても似つかない、全くのオリジナルと言ってもいいくらいの、風変りな作品です。

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2010/05/08 23:44 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] タイタンの戦い
タイタンの戦い遥か古、ギリシア神話の時代。神と人々が共存していた時代。
神々は人々の信仰と祈りを糧に永遠ともいえる命を紡ぎ、その命を力として人間の世界を守る。信仰と祈りが途絶えれば、神の人間に対する力が揺るぐ。人間に知恵と猜疑心が芽生えれば芽生えるほど、その亀裂は大きくなる。それは、神々と人間の間に血で血を洗う戦が起きるほどに。
大神ゼウスの一粒種、ペルセウス。それは人間が神から与えられた恥辱の証。しかしそれが、人間の世界を救う一つの希望となるなど、誰が知り得ただろうか。そしてその事実を知った彼は、神と人間の血を受ける彼は、どんな未来を選択するのだろうか。

1981年に製作された同名の作品のリメイク作品。



約1時間40分の作品という、あまり長時間ではないお手頃時間の作品。VFXをふんだんに用いたスペクタクル。様々な伝説や怪物、魔術が蔓延るギリシア神話。
こんなに、エンターテインメント性溢れる作品であるにも関わらず、

僕としては、すっごく面白くなかったです。

この作品は、アバターのように、広大な世界観を魅せたいの? 何らかのメッセージ性を出したいの? それがちっとも分からず、更には出てくる登場人物のうち、誰がどんな立ち位置で、その人物の背景・生い立ちが全くと言っていいほど語られず、物語の展開だけが鑑賞者置いてけぼりで進められ、感情移入が出来ませんでした。
主人公であるペルセウスも、最初は神に対して反発し、真実を知ってからも、人間として戦うことに信念を貫こうとしたけれど、ラストの方で(何となく)神を受け入れているところなんか、「え? いつの間に?」と思ってしまったり。
結局のところ、単にペルセウスが最初は人間として育てられ、紆余曲折を経て神の血を引くものと知って、神が定めた運命に立ち向かいそれを成し遂げる、お終い、って感じの作品に。

人にお勧めするか? と問われたら、僕はほとんどお勧めしません。何の予備知識も考えもせずに鑑賞する、というのも無理があるように思います。

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2010/05/05 21:36 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] アバター
アバター

avatar

[名][C]
1. (神の)化身、権化、具現
2. (Internet)アバター◆ネット上での仮の姿、アイコン



この作品を観終わって、真っ先に感じたことは、というと。

 ■ 仕事帰りの疲れた身体で観る映画じゃない
 ■ この作品のDVDの売り上げは、興行収入と比較して驚異的に低い、という予想

です。

物語は非常に単純明快。特別頭をひねるようなこともなく、一本道に進みます。伏線と言えるものはほとんどないため、気楽に作品を楽しめることができます。
なのに。「仕事帰りの疲れた身体で観る映画じゃない」というと、僕がこの作品を鑑賞したのは、IMAX-3Dだから。3Dだからこそ楽しめる、あまりにも深さと奥行きがある重厚感! グイグイと作品の世界にのめりこむことができるため、作品終了間際にはヘトヘトに。。。 orz
その代り、3時間ほどの長編にもかかわらず、「まだ続くのか?」といった倦怠感にも似た感覚が発生しませんでした。

3Dの作品はこれまでにも多数ありますが、いずれの作品も、子供向けだったり、+αの余興的存在で終始してしまうのがほとんどだったように思います。しかし、この『アバター』の出現によって、より一層、作品の中に3Dを取り入れるところが増えるのではないのでしょうか。
言わば、『アバター』こそが、本当の意味での3D映画の先駆者となるような、そんなことが頭によぎります。

だからなのでしょうか。
ホームシアターをはじめとする家庭用映画産業では、まだまだ3Dは先の先。一部で商品化されていつつも、誰しもが普通の給料と家の構造と家族の理解で購入できるようなものではないと思います。そんな中で、『アバター』のDVDがリリースされるものなら、それは単に普通の作品になり下がってしまうような気がして……

そうなってくると、果たしてこの作品、3Dの作品でなかったら、『タイタニック』越えなんて出来たのでしょうか。。。


閑話休題。

今の、職場における僕の立場と、彼の立場というのは、どことなく共感が持てて、単純明快な作品であるにもかかわらず、感情移入しながら鑑賞することができました。
何よりも、それまで不自由な足を引きずって生活しなければならないのに、たとえ任務とはいえ、人間ではないとはいえ、自分の力で立ち、歩き、走り、跳ぶことができる足を手に入れられる、ということは、彼にとって掛け替えのない『自由』を手にすることでもあるから。
そこから広がる新たな世界。新たな出会い。仮初の身体とはいえ、自分の、これまでの呪わずにはいられなかった運命の変化に、喜びを感じずにはいられない。

だからこそ、彼は悩む。これが、本当の『現実』であれば、どれほどよかったか。
そして、彼がとった方法は、他でもない『己』と、『己』の信じる世界のため。きっとそれで、多くのものを失うことになろうとも。

この作品、アメリカ国内の一部の保守層には大層批判的に受け止められているようですが、僕はそうは思いませんでした。ただ、僕が思ったことは、「今、自分の行っていることは、己の信じていることか。己の心に恥じないことなのか」を問いかけている、と感じました。

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2010/01/29 23:49 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] サロゲート
サロゲート

surrogate

[名][C]
1a. 代理人
1b. 代理物
2. (米)遺言検認判事

[形][A]
1. 代理の
2. 代用の



人間工学とそれを支える技術は進化の一途をたどり、今や脳神経から発せられる電波をキャッチして、限定的ながらも、それを行動に移すことができる、という段階にまで至っています。先天性あるいは不慮の事故による後天性によって、身体の一部を失う、もしくは麻痺してしまっても、失った部分を動かそうとする脳神経が無事であれば、その通りに『義肢』が動く。そして、それが実用化されるのは、そう遠くなくなっています。
そんな夢のような世界は、いつしか手足だけでなく、顔を含めた全身に至り、遂には、当の本人は自宅でバーチャルコンソールの前に寝そべりながら、自分の『分身』が自分の生活の代わりを担ってくれる。たとえ殴られても蹴られても、不慮の事故に見舞っても、本体は決して傷つくことがない。自分の好みの体型や体質、身体能力もオプションで付けることができるので、まるで漫画の世界のように、100m先の地点に跳躍することも、『意志』次第で可能となる。


そんな世界に生きる人達にとって。
今、目の前にいる人は、一体誰? 貴方の話している人は、本当に貴方の望む人?
その目に見えるのは、その耳に聞こえるには、その手で触れたぬくもりは、果たして本物? 偽物?

そして。
そんな社会システムを形成したのは人間であれば、代理となる『分身』もまた人間が作ったもの。人間は、これまでも、そしてこれからも不完全な存在なのに、完璧な『分身』を作ることができるの? その『分身』は、完璧であるために支払うべき代償があるのでは?


最新テクノロジーものによくある、典型的なサスペンス・アクション系作品。しかしそこには、たとえ自分の大切な存在であっても、『分身』に対して接することによる違和感や葛藤といったヒューマン・ドラマの要素も若干ながら盛り込まれています。
個人的には、「目の前にいる人は確かに大切な人なのに、その人は『分身』で、『生身』ではない」とか、「『分身』の生活に浸りきり、ある日突然『生身』の生活に戻らざるを得ない」などの、便利さの中に潜む人間の苦悩と葛藤が前面に出ている、そういう作品の方がよかったかな、と思います。あくまで僕個人の好みの問題ですが。
サスペンス・アクションを中心として描かれていますけれど、お決まりのエンターテインメントでは他の作品と遜色がなくなってしまうため、恐らくヒューマン・ドラマの要素を盛り込んだのでしょうけれど、背景が薄くてそこがいまいちのように感じます。いっそのこと、サロゲートを『サスペンス・アクション』オンリーで、『ヒューマン・ドラマ』オンリーで描いた方が、一層重厚感が増したのでは、と思いました。

しかしながら。
周囲がみんなロボットとか人形って、映像の世界だからこそ、その『気持ち悪さ』が伝わってきたのですが、たとえそうかもしれなくても、サロゲートのような『分身』の生活を望む人も、もしかしたら現実にいるのかもしれません。そう考えた時、世界のほとんどが『分身』で覆われる世界も、決して絶対悪には成り得ない、と複雑な思いに駆られてしまいます。

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2010/01/28 00:10 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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