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2025/02/04 03:21 |
[Review] クライマーズ・ハイ
クライマーズ・ハイ【クライマーズ・ハイ】

登山時に興奮状態が極限まで達し、恐怖感が麻痺してしまう状態



作家・横山秀夫氏の小説『クライマーズ・ハイ』の映画化作品。
1985年8月12日 18:56、日本航空123便羽田発大阪行きのジャンボ機が、群馬県の高天原山に墜落。死者520人、負傷者4人の、世界最大規模となる未曾有の航空機事故が発生。この作品は、その事故を追う地方新聞社の視点から見た物語です。
ですが、この作品の主眼、最も伝えたいことは、題名にもなっている『クライマーズ・ハイ』でもなく、題材でもある『日航機墜落事故』でもなく、『仕事に対する姿勢』にあると思います。自分に与えられた仕事を、自分に任された仕事を、どれだけ真剣に向き合っているか、どれだけのプライドをもって取り組んでいるか。必要ならば先輩上司は一切関係なくとことんまでぶつかり、また必要ならば土下座をしてでも推し進める。自分が取り組んでいる仕事に、どれだけの価値を見出せているかがポイントとなる作品だと思います。

ある意味『働きマン』と方向性は似ているのかもしれませんね。『働きマン』はコメディタッチですが。自分が打ち込める、プライドと自信をもって取り組める仕事を前にすると、頭に麻薬か何かが流入されたように感じ、それ以外のものが見えなくなる。それでも自制できればいい方。時に暴走し、仕事仲間は勿論、友人や家庭にまでその暴走が波及し、いずれ崩壊へと導く。自分と周囲の関係だけでなく、いずれ自分自身さえも……。
そして時として自分の熱意は誰かからの嫉妬や反感を買う。非効率な前例主義を貫き通す上司陣も然り。自分の熱意の結果が全て押し通せるとは限らない。どんな仕事でも、一つの側面だけで遂行できるわけではないから。同じ新聞社に勤めているのに、同じ新聞を作っているのに、部署によってその見方・捉え方は全く違う。妥協すれば許されるのか? 自分が本当に掲載したい、読者に伝えたいことを捨ててまで? 全てを叶える魔法のような方法はありはしません。プライドとプライドのぶつかり合い・鬩ぎ合い・削り合いが、仕事を面白くもし、また厳しくもしていくのではないのでしょうか。

『短期間のバイトで高額報酬』『同じ労働量なのに正社員と派遣社員には大きすぎる格差』 等々、様々な仕事に対する謳い文句や社会現象が闊歩している現代。確かに報酬や賃金は生活していく上で大切ですが、同じくらい、仕事に対するプライドをどれだけ持てるか、どれだけ保てるかがも大切ではないかと思います。今自分が携わっている仕事が、どれだけ大切か、どれだけの熱意とプライドを持って突き進めて行くべきか、そういったこと考えさせる作品ではないかと思いました。


日航機墜落の事故は、照りつける暑い太陽の下で発生した、もはや悲惨と形容することもおこがましいくらいの大事故。この夏もまた、多くの遺族の方々が慰霊に訪れることでしょう。
ご冥福をお祈り申し上げます。

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2008/07/06 00:40 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] 奇跡のシンフォニー
奇跡のシンフォニー人の想いは、何よりも強い     
それを思い起こさせる、素晴らしい作品です。


天才的な音楽の才能と感性を持つ少年の望みは、有名になることでも、お金を儲けることでもない。彼の願いは、両親を探すこと。そして両親と普通の幸せな毎日を暮らすこと。公園で遊ぶ親子のように。
当ても無い旅路。どこを探したらいいのか分からない。どうやって探したらいいのか分からない。お金も写真も手がかりも何も無いけれど、自分には音楽がある。それも単に音を聞き分ける、演奏する能力だけではない。音楽に想いを届ける、音楽が持つ想いを受け入れる。
自分の両親も何よりも音楽を愛していた。父親はロック・ミュージシャン。母親はチェリスト。分野は違うけど、好きな音楽に対する想いは、きっと誰にも負けていない。だって一度音楽を離れても、心の底から離れたわけではないから。そしてその音楽こそが、離れ離れになった3人の魂を一つへと導く。お互いが「会いたい」と願う強い想いを、音楽に乗せて。

彼の能力の凄いところは、何気ない音にも音楽性を見出すこと。そして、素晴らしい音楽を引き出すために、凝り固まった法則は必要ないと考えること。
普段何気なく聞いている日常生活のノイズ。11年も養護施設に預けられた彼にとって、たとえ耳に障るような雑音であっても、それは未知への探求を駆り立てる交響曲。
初めて触れたギターやピアノ、パイプオルガン。勿論これまで教科書どころか、音符ですら見たことないから、正しい弾き方さえ分からない。でも、彼にはそんなことは関係ない。音に想いを乗せるために、始めから体裁を整える必要はない。彼の手にかかれば、これまで考えもしなかった楽器の使用の仕方で、思わぬ音色を引き出すことも出来る。
この作品は、音楽映画の王道の作品ではありません。「正しく弾こう」「上手く弾こう」「有名になるために、お金を儲けられるように」、主人公にはそんな想いは少しも無い。ただ、奏でる音に自分の想いを切実なまでに乗せて、まだ見ぬ両親に届けようとしているだけ。この作品は、『想いの強さ』の作品だと思います。


ジャンルは一切関係ありません。専門的な知識も必要ありません。
何よりも強い気持ちが込められた珠玉の調べを、どうぞ堪能してみてください。

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2008/06/22 11:48 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] ラスベガスをぶっつぶせ
ラスベガスをぶっつぶせハーバード医科大学へ進学するためには、生活費込みで30万ドルが必要。でもそんな大金があるわけがない。かくなる上は奨学金を得ること。でも、そのための条件が、優秀な成績を収めただけでなく、驚嘆させるような人生経験が必要であることに。

驚異的な数学能力を買われ、ラスベガスのカジノにおいてブラックジャックのカウント作戦で荒稼ぎをする天才学生達。その中でも特に抜きん出て、記憶力・計算力・即時対応能力、果てはカジノというこれまでの人生から切り離された異質な空間でも度胸を発揮する主人公。
みるみる内に一味の頭角に躍り出るが、己の能力とチームで一番の稼ぎ頭という自尊心に溺れ、本来の目的『30万ドル稼いだら止める』を見失うことに。そして大金の魅力とギャンブルにのめり込んだ代償は、それまで大切にしていた友人と共に歩んできた道。更にはチームワークを乱した代償を強制的に払わされ、全てを失う。

というのを聞いても、多くの人は多分に「可哀想」とは思うけど、とりわけ驚愕とは思わないでしょう。ブラックジャックのカウント作戦自体は(一般の人にとっては)驚愕でしょうが、(物語上は)これまでにも多くの一味がカジノで実践し(最後にはバレて稼いだ金を返され代わりに傷が増え)てきたようなので。
そう、驚愕な人生経験は、実のところこの後に起こる出来事。失意のどん底に堕ちた主人公が取ったとんでもなく且つ予想外な行動。それまでは、自分の能力に酔いしれた主人公の栄枯盛衰、友情と恋愛といったところがクルーズアップされていました(実話を元とはいえ、カジノとブラックジャックのカウント作戦は、これらの要素を引き出すための道具に過ぎないと思いました)。しかし、ラストの展開はいきなりサスペンスフルに! 一度チームワークを乱し、袂を別れた人達の再結成でしょうから、きっと何かあるだろうとは思っていたのですが……
まぁ、このラストのシーンに突入する前のあるシーンで、ちょっとひっかかったところがあったのですけれどね。「ん?」と思ったところが。ただの撮影ミスかと思ったのですが、とんでもない伏線が待ち受けていたのですね……


しかし荒稼ぎは別として、主人公のような驚異的な計算能力は、僕は欲しいなぁ、と思ってしまいました。何かと便利そうだし。

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2008/06/21 23:46 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国考古学者インディアナ・ジョーンズのアクション・アドベンチャー映画第4作。タイトルは『クリスタル・スカルの王国』。

ジョーンズ博士の行動力・バイタリティは、約20年経った今でも健在でした。でもね、死ぬから。いくら何でも
(特に、最初の方の核実験のシーンとかバイクに乗ってカーチェイスシーンとか…)。
もはやアクション・アドベンチャー映画の枠はとっくのとうに超え、どちらかと言えばアトラクション・アドベンチャーに。最初から最後まで息をつく間もなく繰り広げられる、『良い子は真似をしないでください」アクション』が目白押し。
しかも主演のハリソン・フォードに限らず、脇を固めるケイト・ブランシェット、カレン・アレン、シャイア・ラブーフに至るまで。そして皆楽しそう(顔は満面必死だけど…(汗))。特にケイト・ブランシェットは、『ロード・オブ・ザ・リング』や『エリザベス:ゴールデン・エイジ』といった作品のイメージが強かったので、今作のような何でもありアクションではどんな活躍をするのか、楽しみ半分不安半分でした。

が、結局のところ、ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグをはじめとする製作者サイドの思惑通りにいったような気がします。
この作品ももう4作目。単なる考古学探検ものは二番煎じだし、火薬たっぷりCGたっぷりのアクションはすぐに飽きられる。それを考慮した上での今作の魅力。それは、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮をしていた『レジェンド・オブ・ゾロ』の時もそうでしたが、喧嘩している者達を囲んで、まるで観戦者のようにエキサイトする。自分が喧嘩の主賓ではないけれど、「これを見とけ!」と強制するのではなく、観客と一緒になってエキサイトする魅せ方。
『インディ・ジョーンズ』シリーズも、最初こそ(1作目・2作目とか)様々なアクションや戦闘に真剣勝負で、ワクワクよりもハラハラ感の方が強く、鑑賞しているこっちの胃が痛くなるばかりでした。が、そんな初々しいまでの切迫した緊張感も3作目以降からは次第に解け始め、ブラック・ジョークも交え、単なるアクション映画に留まらないユーモアな作品になっていったのではないかと思います。
まぁそれでも、ジョーンズ博士の無鉄砲さは4作目になってもちっともお変わりのないことで。年齢を感じさせない、という意味ではいいのかもしれませんけれど(汗)。


そんなこんなで、これまでの作品の懐かしアクションをいくつかピックアップしながら、物語も敵側味方側とどっちつかずに転がっていき、最後のクライマックスに突入しますが、私自身、これまた見事に裏切られました。悪い方向で。流石に映画館で大声を出すわけにはいかないので、心の中で叫びました。「えっ、こんなのアリー!?」って。
これまでの作品が、宗教的・オカルト的な展開でしたので、最後の結末部分は、個人的には微妙に納得いかないのですが……。まぁでも、話の流れからして薄々感づいていたことでもあるし、これまでのルーカス映画やスピルバーグ映画のオマージュを盛り込んだ形と解釈すれば、これはこれでアリかな、と冷静に思う部分もございます。
それが何かは、皆様の目でお確かめください……

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2008/06/14 21:38 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie
[Review] ザ・マジックアワー
ザ・マジックアワー『THE有頂天ホテル』の時も、鑑賞した友達とメールとかで台詞のラリーをしながら遊ぶくらい名(迷?)台詞が多かったのですが、今作もこれまた名台詞が多く。話のネタには事欠きません。

『THE有頂天ホテル』は、一つのホテルの下で起こる様々な人間ドラマ。一見何の関係も無いように見える人間関係も、ひょんなところで出会い、ぶつかり、交錯していく。予想もつかない展開の数々は笑わずにはいられません。対して『ザ・マジック・アワー』は、話の筋は一貫していて、使われるネタも割りとベタ。でもベタだからこそ、堂々と真剣勝負でやっているから、滑稽すぎて笑いを引き出すのでしょう。
『THE有頂天ホテル』もそうでしたが、今作も、映画というよりはどちらかというと舞台のような感じです。まぁ、監督・脚本の三谷幸喜氏が、映画監督というよりかは舞台監督としての実績が大きいからなのでしょうけれど。だから、最初の方のシーンはどちらかというと映画という感じがせず、舞台という感覚が大きいと思いました。それも『THE有頂天ホテル』よりもはっきりと。
最初の方の演出というか俳優さん達の演技が、妙に舞台っぽい、というより態とらしい(悪い意味で)と感じたので、「もしかしてこの作品は失敗か?」と思いました。が、気づいたら引き込まれてて、そんな感情はどこへやら。すっかり作品に魅入られてしまったのです。
しかし何と言っても、『THE有頂天ホテル』以上に名優さん達が勢揃いですね。それも主役級の方々が。さらに、ほんの数分の出演でしかないカメオ出演にも関わらず。三谷幸喜監督が、「僕の人徳の成せる業」とか言ってしまいそうですけれど、ほんのカメオ出演でもここまで集まるのですから、それはそれで言い得て妙かもしれません。

『マジックアワー』とは、黄昏の夕焼けから夕闇に空が染まろうとする時の僅かな時間。1日で最も美しい時間、だそうです。今作は結局のところ、『マジックアワー』については説明部分のみで、それを巧みに利用したシーンは用意されてはいなかったように思うのですが……
まぁ、あくまで『マジックアワー』とは一つの題材であり、この作品の趣旨は、「素敵な時間を有難う」というところでしょうか。たとえそれが目に見える結果に結びつかなかったとしても、自分の中では最高の経験となる。そして太陽がある限り、『マジックアワー』は決して終わりではない。また明日も、その次も、きっと『マジックアワー』はやってくる。そう思って毎日を送ればいい。そんな感じでしょうか。
この作品、是非、映画ではなく舞台としてやっていただければと思いました。むしろその方が面白いかもしれません。舞台ならではの演出とかもできそうですし。


おまけ。
最初の方のシーンで5日以内に人探しをする、というところですが、「明らかに5日以上経過してるだろ!」というツッコミは無しの方向で。

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2008/06/07 23:50 | Comments(1) | TrackBack() | Review - Movie

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