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2024/11/23 16:11 |
[Review] しゃべれども しゃべれども
しゃべれども しゃべれども観終わった後で、「あー、とってもいい映画を観た!」って思える作品です。
壮大さもなく、巧みに練られた脚本であるわけでもなく、特別目を見張るような俳優がいるわけでもない。けれど、素朴で、人情味あふれていて。うまく言葉に表せないけれど、ただ単に「この映画を観ろ!」と投げかけるだけの作品ではなく、スクリーンを隔てて、「一緒に楽しもう」と声をかけてくれるかのような。
商業主義に走るような一大エンターテインメントを目指すわけでも、何らかの賞を受賞するような大作を目指すわけでもない。『落語』と同じように、一緒に楽しんで、一緒に笑い合おう。温かい気持ちに『させる』んじゃない、温かい気持ちを『伝え、共有する』作品だと思います。

勿論、これは『落語』がメインに登場しますが、あくまでツールとしての一部であり、作品としての目的は、『自分探し』。まぁ、そんな『自分探しの旅』みたいな仰々しいものではなく、日常生活の中で持つ自分のコンプレックスを、どうしていきたいかと悩む人たちの悲喜交々を描いています。
「人の出会いによって変わっていく」。この類の作品というのは今までにも多く世に出されています。パターン的には『県庁の星』によく似ていますが、言わずもがな、方向性は別ですね。『県庁の星』は、主人公の二人が別に出会わなくても、それなりの人生を送っていけるのでしょうけれど、出会うことによって、違う世界を触れ、色んな価値観、色んな選択肢を見出すことになる。
一方、『しゃべれども しゃべれども』は、自分が抱え持つコンプレックスをどうにかしたい。でも、何をやってもどうにもならない。『その人たち』に出会うまでは。「本当に自分を変えられるのだろうか」。一抹の不安が過ぎりながらも、出会って、触れて、そして変わる。自分の中に、足りないもの、補うべきものが見えてくる。はじめは形でもいい。そこから、だんだんと『自分らしさ』を見出していく。登場人物は、皆不器用だけれども、そこが『等身大の人間らしさ』を演出できていて、鑑賞する人にも共感を得ることができるのでしょう。

   「落語習って、何か変わったか?

いいえ、変わったんですよ。見違えるほどじゃないけど、目に見える形じゃないけど、少しずつ変わっていっている。この出会いで。
人間だから、目に見えるような結果をすぐに欲しがるけれど、よーく目を凝らせば、よーく耳を澄ませば、きっとどこかに変化がある。ほんの少しだけど、その変化を観察していくのって、本当に面白いし、むしろ愛おしい。


さて、話は変わりますが。
僕はお世辞にも教養や知性を持っている方ではありませんので、落語を聴いても、面白い部分でも「ん? どこが?」と思ってしまうことも多々あります。周囲の人は「落語って面白い!」という人がいるけれど、自分自身の感覚では、「確かに面白い部分があるけれど…」と多少なりとも思ってしまうところに、自分の無知と教養の無さが露呈してしまっています。大変お恥ずかしいながら。
「古典芸能だから、敷居が高い」なんて考えはすれど、所詮それは自分が敬遠するための言い訳。でも、この作品で、ほんの少しではありますが、『落語』の面白さを身近に感じるようになりました。
時間があるときに、演芸場へ行って、生の落語を肌で感じたいですね。本当の面白さに、触れてみたいと思います。

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2007/05/26 23:49 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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