たとえそこに正当な理由があっとしても、戦争によって誰かを、何かを傷つけたことは、消すことも無かったことにすることもできません。
史上初めて、原子爆弾が落とされた。一瞬にして多くの生命が塵や灰と化した。そしてその後遺症は、今でも多くの人の身体を蝕んでいる。
残酷な事実の中で、戦争によって被害にあった数々の展示物は、過去の戦争の愚かさや苦しさが漂っています。しかし忘れてはならないのが、誰かを、何かを傷つけてもいる、ということ。その為の兵器を次々に造りだしたのもまた事実。
誰かを、何かを傷つけなければ、大切なものは守れない。そうなのかもしれない。現に、それで圧制から開放された国々もある。歴史がそれを物語っています。しかしそれでも、傷つけることによって誰もが幸せになることなんてあり得ない。誰かが悲しみ、誰かが苦しむ。
2日目に訪れた、『大和ミュージアム』と『広島平和記念資料館』。展示内容は全く違いますが、両者とも共通していることが、『科学技術の功罪』と『科学技術を担う人間の未来の選択』。残虐極まりない兵器によって多くの生命を奪われたが、私たちも残虐極まりない兵器を数多く作っていた。それだけでも当時は高い科学技術力であったが、今は当時をはるかに上回る科学技術が開発されている。勿論、それを戦争に使用すれば、これまでとは比べものにならない殺傷力を誇る兵器を作り出せるかもしれません。
有史以来連綿と築き上げてきた科学技術は、誰かを幸せにするものではなかったのか。誰かを不幸にする為に発展してきたわけではない。2つの資料館は、これからも静かに、見る人一人一人に問いかけているのでしょう。
それにしても、ビックリしたのがいつにも増して海外からいらっしゃった方々が多いこと多いこと。桜の季節だから、というのも手伝っていると思うのですが。特に広島平和記念資料館は、今回で3回目なんですが、それでも、いつにも増して多くの海外からの観光客で賑わっていました。そう言えば、昨年夏、知覧特攻記念会館へ訪れた時も、同様に海外の方が多く詰め掛けていたと思います。
イラクやアフガニスタン、アフリカ諸国の内紛等、不毛な戦争が長引いていることもあり、世界情勢はいつにも増して不安定。9.11の同時多発テロ直後は、一時期、アメリカが、世界が、報復攻撃に息巻いていた時もありました。しかし、結局のところ、それによって生まれるものは何も無く、ただただ無残に、動かない、物言わない身体が死屍累々と積み上がっていくだけ……。
先の見えない、終わりの見えない、脱却しようにもできないからこそ、もう一度、戦争の愚かさ、酷さを知る為に、日本国内に限らず、様々な方がいらっしゃるのかもしれません。
広島市のシンボルといえば、広島城。しかし、間近で見ると微妙にボロい…(←失礼)。でも、中の展示物は盛り沢山です。広島城も、原爆投下の際に全てが吹き飛んでしまったそうで。。。この年、再建して丁度50周年に当たるんだそうです。
広島電鉄白島線をまたいで、縮景園へ。これぞ正しく、日本庭園の王道を行っている、と言わんばかりの荘厳な造りの庭園です。その名の通り、様々な日本庭園の景色や要素を一つに集め、それが全て堪能できるように縮めたような感じです。
広島市内の名所を堪能したあとは、今回の旅行のメインである錦帯橋へ。
錦帯橋は今回で2回目。前回の旅行で絵葉書を購入し、桜と錦帯橋と屋形船の光がとても綺麗だったので、絶対にまた雇用というきっかけになった名所です。
これまでに訪れた、岡山城や後楽園、広島城や平和記念公園もそうでしたが、錦帯橋周辺も、満を持しての桜の満開。沢山の観光客が音連れ、夜店も軒を貫き、はるか遠くまで渋滞の列!
そして、最も目を奪われたのが、頂にある岩国城のライトアップ。山々が全て闇に包まれているのに、月明かりのように岩国城が光っていて、まるで幻想的な光景でした。
長年の夢が叶った一瞬でもあります。写真の撮影技術は相変わらずですけれど……。。。
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