彼岸花ほど、未だかつて奇特な異名を持つ花はないでしょう。
方や、『曼珠沙華』と呼ばれ、法華経中の梵語より『天上の花』と意味されるほど尊い花とされたり。方や、『死人花』や『地獄花』と呼ばれ、家に入れると火事を招くと言う不吉な花とされたり。
どちらにしても、『黄泉の国』を連想させる花なんですね。
天候は快晴。
風はやや強め。
真夏が完全に過ぎ行く前の、若干の暑さは残るものの、湿度もあまり無く、心地よさだけが肌を通り過ぎる絶好の秋晴れの日。陽の光をその身に浴びる花、林の中でひっそりと咲く花。見渡す限りの真紅の絨毯は、秋の彩を感じさせます。
巾着田は、遠方に秩父の山々を見渡す事の出来る田園風景。雨上がりの後のように、空気も澄んでいたため、赤い彼岸花が、より一層赤みを強め、紅に染まっていました。周囲の緑色とは正反対の色でありながらも、いや、正反対の色だからこそ、真紅の色が深みを増していました。
澄んだ空気と水。深い緑色。より深さを増す赤。
かつて、人々がこの花から、黄泉の国に連想させるのは何となく分かる気がします。『引き込まれる色を持つ花』。彼岸花に見惚れるうちに、魂を抜かれてしまうような。
『天上の花』と『死人花』。彼岸に咲く『死』を思わせる花は、そんな魅力を醸し出しているのでしょう。
巾着田の中程には、彼岸花と同じ時期に咲くコスモスの群生が。
こちらも満開で、白からピンク、深い赤の花が、風任せに揺られながらも見事に咲き誇っておりました。
そして、コスモスの群生は正に虫たちの楽園。先日の浜離宮恩賜公園と同じく、蜂や蝶が方々に飛んでいましたが、全体的にやや小振り。その代わり、赤とんぼがこれまた群生と言えるかのように沢山飛んでいました。
花の移ろいと共に、虫たちの移ろいもまた、秋の訪れを感じさせます。
きっと、この一体は夕暮れも素晴らしく美しいのでしょう。真っ赤に燃えた太陽に照らされる真紅の彼岸花。まるで、一帯が本当に燃えているかのような、『赤』の楽園を作り上げるかもしれません。
『埼玉県』の写真集についてはこちら
PR
トラックバック
トラックバックURL:
おいらも俳句つくりに行って見ます
是非、足を運んでみてください。
>いいとこいってるじゃーん
>おいらも俳句つくりに行って見ます