たった一人で、10万の敵に挑む
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しかし、彼が立ち向かわなくてはならないものは、10万の敵だけではなかった。そして、彼にとって人間とは、たとえ敵であろうとも傷つける対象ではなく、守り通す対象なのだ。
時代物アクションの中国映画でよく見られる、上映初期から覚えきれないほどの登場人物とその相関関係。それに対しあまりにアンバランスな、シンプルすぎる物語。あまりにもあっさりしすぎる物語の展開が中盤にまで及び、映画というエンターテインメントとして成り立っているのか、と不安に思ったが、後半でその考えが露に消えた。
シンプルな物語構成であるからこそ、伝えたいメッセージを前面に出そう。そういった意気込みが感じられたからだ。それは、主人公の一挙一投足にも込められている。
それは、人間誰しもが持ち得る、光と影。
誠実と誠意。欲望と陰謀。
方や自らの知恵と身体を投げ出し、たとえ敵でも一人でも死者を出さぬよう奮闘する。
方や己の保身と利権に溺れ、救世主に対してでも平気で仇を為す。
こういった類の物語は、過去にも数限りなくある。ただ、この作品は物語り構成がシンプルであるだけに、そのメッセージは強烈に残る。その余韻は、今でもだ。
この作品は、原作であるコミック『墨攻』を映画化したものだという。僕は原作を読んだことは無い。原作もこの映画と同様、墨家の理念から『反戦』や『非攻』といったメッセージを謳い文句にしていたと考えるが、その根本となるのは、人間の精神活動だ。それを如何に制御し、そして行動に移せるか。それは、今もって尚、一人一人の人間に問われる課題である。
墨家の考え方や理念は、僕自身もそうだが、人間一人一人が見習い、考えるべきではないか。
勿論、これは至極当然のことだ。だが、当然のこそだからこそ、見落としやすいし、忘れやすい。
今、社会で多大に騒がれている数々の事件が、それを反映しているかのように。
彼らは本当に実在していたのか、それは定かではない。
でも、伝説であろうとも幻であろうとも、彼らの考え方や理念は今でも生きている。
この作品を通しでなくても、彼らの考え方や理念に、触れてほしい。人間の根源として大切なものは何なのかが、きっと見えてくるはずである。
墨家の話ですよね?
ここでレビューやってくれないか待っておりましたーー!
レビューを見る限りでは、見て損はなさそう(?)ですね。
今のご時世、自分の保身ばかりに走る人間が多いからこそ、そういった生き方にすごく感銘を受けます。
物語自身はシンプルで、アクションもそう眼を見張るようなものはないので、繰り返し観る、という点では飽きがくるかもしれませんが、それでも、一度は観ていただきたい作品であると思います。
>これ、見ようどうしようか迷っていたんです。
>墨家の話ですよね?
>ここでレビューやってくれないか待っておりましたーー!
>レビューを見る限りでは、見て損はなさそう(?)ですね。