この映画の登場人物は、何らかの形で人間の『醜い部分』を持っています。そんな『醜い部分』が内外入り乱れて描写されているから、爽やかさの『さ』の字の欠片も見当たらず。ドロドロとした空気が、より一層登場人物を『醜く』描いているように感じます。
それを、「人間は所詮醜い生き物なんだから、隠すことなんてない」と言わんばかりに、酒や女など、自分の欲望をありったけに発散しようとするロチェスター伯爵は、『ある意味で』清々しい人物なのかもしれません。他の人物は、皆、対面や自分のプライドを如何に死守するかに固執するあまり、ムッツリになってしまって、影ではひそひそと淫猥なことに勤しんでいるのに、公共の場ではさも誠実な人物像を装ったりして。
冒頭のロチェスター伯爵の独白で、「諸君は私を好きになるまい。男は嫉妬し、女は拒絶し、物語が進むにつれて、どんどん私を嫌いになる」と語っていますが、悪辣ながらも自分の欲望のままに生きる姿は、かえって観る人をひきつけるのではないかと思います。
いわゆる、『好き』という感情で人を惹きつけたいのではなく、『嫌い』という感情で人を惹きつけたい、これも、彼の奔放で捻くれた性格所以ではないかと思います。
そんなロチェスター伯爵を演じる俳優が、ジョニー・デップなのですから。
彼は本当に凄い! 改めて、彼の持つ俳優としての凄さを垣間見たと思います。
彼は、何をしなくてもその存在だけで十分光放つのに、場面場面で、その光を抑えたり、時には他の俳優/女優にその光を当てたりと、うまく表現できませんが、役どころというか、立場や立ち位置を絶妙に演じています。この映画、むしろ、彼の存在が全てにわたって功を奏しているのかもしれません。
そんな、男の色気を放つ彼の才覚は、性別を問わず、あらゆる人を惹きつけてやまないのでしょう。
PR
トラックバック
トラックバックURL: