上映開始からしばらくまでは、「この作品がアカデミー賞を受賞したのは、外国人受けしたからなのかな」と思っていましたが、
気がついたら、食い入るように観ていました。
父と娘の関係に似た、激しさや情熱混じり愛ではないけれど、素朴で、不器用で、でも何よりも厳しく崇高な愛を描いたヒューマンドラマ。
似たような境遇を持つ男女が出会うと、大抵の場合、お互いの傷を舐めあうような形で惹かれあうけれど、この映画は全くの別。
お互い、似たような境遇だけど、決して甘えたりしない。相手の存在を認めながら、自分を支え、高みに上りつめていく。そういう『気高さ』を持った生き方が、映画を観る多くの人を魅了したのかもしれません。
話の流れも最高でした。『マイノリティ・リポート』とよく似ていますが、『マイノリティ・リポート』は、散在する点が徐々に線で結ばれ、最終的には全ての点が蜘蛛の巣のように張り巡らされる映画。
それに対し、『ミリオンダラー・ベイビー』は、散在する点が徐々に集約され、最後に一つの点になっていく感じがしました。
『孤独』『誇り』そして『互いを高めあう愛』。
ドメスティック・バイオレンスや、幼児虐待など、本当に血がつながっている間柄ですら絶え間なく傷つけあっている世の中。
でも、ただの他人でも、これだけの絆を愛を深められるということを、この映画で学び取ってもらえたら、と思います。
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