「この世界から足を洗え。
人の心を失う前に 」
Central Intelligence Agency。アメリカ合衆国の諜報機関。
国家情報長官によって統括され、アメリカ合衆国の国策遂行の為に、情報収集・対外工作を行う機関。
CIAを取り扱う、もしくは直接・間接的にCIAがかかわる映画は、これまでにも多数存在する。そのうちの多くがスパイ映画やアクション映画だ。作戦を確実に遂行させる為に、己の頭脳と体力を存分に活用し、手にした武器で敵と戦う。正義が勝ち、悪が滅びるというお決まりの構成は、もはやアクション映画の常套手段とも言えるだろう。
だが、その姿は決して本当ではない。『諜報機関』という名前からして格好いい印象を受けるが、事実それらの仕事振りは、正に泥臭い。『諜報』という仕事は、決して「誰かを幸せにする」類の仕事ではない。ましてや、「これ以上不幸にならない」ようにする仕事ですらない。自分達が優位に立つ為、その為に時には人を不幸に陥れる、汚れた仕事なのだ。たとえそれが、未来の行く先に多くの人を救うようなことに繋がっていても、決して気持ちいいものではない。確実に自分を含めた『誰か』を『不幸』にするのだから。
「決して誰も信用するな 」
『諜報』という仕事は、自分の手が汚れても決して厭わない、心を凍らせた、もしくは心を失った人間でないとできない仕事なのかもしれない。
自分はいつ危険な目に遭うか分からないから。明日、いや、数時間後には死ぬかもしれないから。自分達の業績で得た甘い汁をすすっている、『表』の人間がいるというのに。
ましてや、その傍らに、自分の身を引き換えにしても守りたい大切な存在があれば、尚更だ。
現在、漫画家・きたがわ翔氏が角川書店の漫画雑誌『コミックチャージ』で、『デス・スウィーパー』を連載している。直訳すれば、『死の清掃人』。つまり、『死体処理請負人(会社)』というものだ。
死体の処理を請け負う仕事が存在するというのは、以前より知っていた。しかし、それを題材とした漫画というのは、どの世界をみてもこの作品以外にないだろう。少なくとも日本国内では。人知れず自殺を図ったり、孤独死を遂げた後の惨状を生々しく描くことで、現代社会が、とりわけ『格差』が生んだ軋轢や、有史以来持ち続けている差別、そして、その裏で文字通り『手を汚す仕事』を請け負っている人がいる、ということを、生々しく描いている。
『グッド・シェパード』を観賞している最中、その漫画を思い出した。今、目に見える、眼球に飛び込んでいる情報は、決して全てではない。その裏で、普通の人は決して手を出したくないと思うような『仕事』に携わっている人もいる。
でも、その人たちは、最初から心の凍りついた人、心を失った人たちではない。そうせざるを得ないのだ。自分の意思でその『仕事』を選んでしまったからには。
この作品はフィクションであるが、当時の真実を忠実に描いているという。
CIAの誕生は、功績なのか、それとも罪なのか。冷酷なまでに淡々と描かれている『グッド・シェパード』は、鑑賞者にそう問い掛けているように思える。
人の心を失う前に
Central Intelligence Agency。アメリカ合衆国の諜報機関。
国家情報長官によって統括され、アメリカ合衆国の国策遂行の為に、情報収集・対外工作を行う機関。
CIAを取り扱う、もしくは直接・間接的にCIAがかかわる映画は、これまでにも多数存在する。そのうちの多くがスパイ映画やアクション映画だ。作戦を確実に遂行させる為に、己の頭脳と体力を存分に活用し、手にした武器で敵と戦う。正義が勝ち、悪が滅びるというお決まりの構成は、もはやアクション映画の常套手段とも言えるだろう。
だが、その姿は決して本当ではない。『諜報機関』という名前からして格好いい印象を受けるが、事実それらの仕事振りは、正に泥臭い。『諜報』という仕事は、決して「誰かを幸せにする」類の仕事ではない。ましてや、「これ以上不幸にならない」ようにする仕事ですらない。自分達が優位に立つ為、その為に時には人を不幸に陥れる、汚れた仕事なのだ。たとえそれが、未来の行く先に多くの人を救うようなことに繋がっていても、決して気持ちいいものではない。確実に自分を含めた『誰か』を『不幸』にするのだから。
「決して誰も信用するな
『諜報』という仕事は、自分の手が汚れても決して厭わない、心を凍らせた、もしくは心を失った人間でないとできない仕事なのかもしれない。
自分はいつ危険な目に遭うか分からないから。明日、いや、数時間後には死ぬかもしれないから。自分達の業績で得た甘い汁をすすっている、『表』の人間がいるというのに。
ましてや、その傍らに、自分の身を引き換えにしても守りたい大切な存在があれば、尚更だ。
現在、漫画家・きたがわ翔氏が角川書店の漫画雑誌『コミックチャージ』で、『デス・スウィーパー』を連載している。直訳すれば、『死の清掃人』。つまり、『死体処理請負人(会社)』というものだ。
死体の処理を請け負う仕事が存在するというのは、以前より知っていた。しかし、それを題材とした漫画というのは、どの世界をみてもこの作品以外にないだろう。少なくとも日本国内では。人知れず自殺を図ったり、孤独死を遂げた後の惨状を生々しく描くことで、現代社会が、とりわけ『格差』が生んだ軋轢や、有史以来持ち続けている差別、そして、その裏で文字通り『手を汚す仕事』を請け負っている人がいる、ということを、生々しく描いている。
『グッド・シェパード』を観賞している最中、その漫画を思い出した。今、目に見える、眼球に飛び込んでいる情報は、決して全てではない。その裏で、普通の人は決して手を出したくないと思うような『仕事』に携わっている人もいる。
でも、その人たちは、最初から心の凍りついた人、心を失った人たちではない。そうせざるを得ないのだ。自分の意思でその『仕事』を選んでしまったからには。
この作品はフィクションであるが、当時の真実を忠実に描いているという。
CIAの誕生は、功績なのか、それとも罪なのか。冷酷なまでに淡々と描かれている『グッド・シェパード』は、鑑賞者にそう問い掛けているように思える。
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諜報映画では、ときどき清掃人という存在が出てきますね。
なにもなかったように、死体や証拠をすべて消し去る仕事ですね。
表があれば、裏もあるんでしょうね。
これまでも、アクション・エンターテインメントとしてCIAが登場する作品が多く公開されていますが、この作品が一番真実に近いように感じます。
本当のCIAの姿は、泥臭く、暗闇を這いずり回るような汚れた仕事なのでしょう。だからこそ、そこに従事する人間の精神力は、並大抵のものでは務まらないように思えます。
>TBありがとう。
>諜報映画では、ときどき清掃人という存在が出てきますね。
>なにもなかったように、死体や証拠をすべて消し去る仕事ですね。
>表があれば、裏もあるんでしょうね。