19世紀イギリスの美しく壮大な世界観は堪能できましたが、肝心の話の流れとしては、イマイチ納得いくものではなかったような感じがします。
オリバー演じるバーニー・クラークはじめ、様々な名俳優が名演技を演じていたものの……。
そもそも原作を読んでいませんので、偉そうに大したことは言えないのですが、『イマイチ納得しなかった部分』というと、主人公の「強くなろう」という意思が見られなかったこと。
今の自分が如何に不幸なのかということに嘆いてばかりで、そのくせ他人に自分の不幸を自覚させられるのがイヤで。自分の弱さのあまり、自分を利用しようとする大人の邪心を振り払う事が出来ず、利用されてばかり。
『千と千尋の神隠し』のように、色々な体験をして強くなる、というものではなく、色々な体験をしてもなお、弱いままでその弱さに嘆いているところが、受け入れられなかった原因ではないかと。
結構CMでもバンバン取り上げられていたので、その部分が拍子抜けでした。
ただ、最後の最後まで弱いままだと本当に良くない話に成り下がってしまうと思うのですが、さすがにそうではなく。例えこの先どんな不幸が待ち受けていようとも、少しでもいいから自分の運命に立ち向かえるような強さを持っていこう、という意思が、最後に観る事ができたのは良かったと思います。
今までのこういった映画は、作品の中で強くなっていく過程を描くのが殆どですが、最後に『強くなろうと決めた』と描く作品はそうないかと。そういう意味では、少しずつでも自分を変えていきたい、強くしていきたいという意思の表れは、現代と似通ったところがあるのかもしれません。
それにしても。
あれだけ艱難辛苦が一気に押し寄せてきながら、よく純粋無垢な心が汚れなかったな、と感心してしまいます。普通だったらものの数日(短くて数時間……って、それは短すぎか)で悲壮感漂いまくるスレた少年になるものを……
もしかしたら、「強くなりたい」という『心の強さ』には欠けていたものの、「これからも汚れの無い誠実な人間でありたい」という『心の強さ』は持っていたのかもしれません。
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