「この話、絶対秘密だからねっ!」
と念を押される話ほど、いとも簡単に周囲に知れ渡ってしまうのはお約束の話。でも、中にはその知れ渡ってしまった秘密が、冗談で通用しなくなることもちらほら。それが発端で、いじめとか、差別とかに発展することもありますが。
中でも、「周囲に知れてしまえば、確実にその人の人生を台無しにしてしまう」秘密は特に。
まあ、大抵その人は、自己防衛のために自分の重大な秘密は決して誰にも話すまいと固く自身に誓うのでしょう。
けれど。
人は生きていく限り、必ず誰かと接する。誰かに触れ合う。
「誰も自分の苦痛を共有できない」ことは、ずっと黙っているより辛いことかもしれません。
この作品で重要なポイントの一つとして、僕自身が考えたのは、「誰かの最も重い苦痛の経験を聞いて、それを受け止める、それを共有できる覚悟」にもあると思います。
その人が何故話をするのか。今まで誰にも話さなかったのに。
それは、話す相手を信じているから。共有してほしいと思っているから。
本当は、この苦痛をもうこれ以上自分だけで背負いたくない。誰かに聞いてほしい。理解してほしい。
でも、誰彼話せるものじゃない。自分と同じ苦痛を味わったことが無い人には特に。
これは、『父親たちの星条旗』にも、似たようなものがあります。
「硫黄島の戦いという惨状は、決して誇らしげに人に話せるものじゃない」と。
とても重く、とても難しい作品です。
『決して触れてはいけない秘密』。けれども『触れなければその人が潰れてしまう秘密』。
貴方は、それを受け止める覚悟はありますか?
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