広い敷地にズラリと並ぶ、蒸気機関車から通勤電車、新幹線までの実物の車輌の数々。普段目にすることはあまり無いけれど、鉄道の運行を支える数々の部品群。日本に鉄道がもたらされてから現在に至るまでの歴史を刻む資料。日本最大の模型鉄道ジオラマ、体験学習やミニ運転列車などなど、子供が決して暇しない仕掛けが目白押し。特にヒストリーゾーンは実物の車輌が軒を連ねているだけに、死角が多くまるで迷路。お子様が迷子になること請け合いです。
また、一部を除いてこの博物館の展示物は撮影可(さらその一部はフラッシュ不可)。なので、お子様連れの家族や鉄道マニアの方々がこぞって撮影に夢中になり、その周囲にはいかにも「早く終わらせてよ! 次は私たちが撮りたいのに!」と無言の圧力を体内から滲み出しながらイライラしている方々も。電車内では譲り合いの精神を持たせても、こと博物館内ではそうはいかなそうです。気持ちは分かりますが……。
車輌の外観の鑑賞はもとより、車輌の内部にも入ることもできます。さらにはそこでお弁当を広げて、鉄道旅の気分を味わうということも。わりと乗り物系の展示物は、蒸気機関車などのレトロを通り越して滅多にお目にかかれないものに目が行きそうですが、その他にも、日本の鉄道にはこんな車輌も活躍していた、ということを魅せる上でいいと思います。
2階に上がり、鉄道史を作り上げた数々の貴重なコレクションを見てから、鉄道模型ジオラマへ。
このジオラマ、僕の個人的な感想ですが、お子様向けです。日本最大規模であること、ナレーション付き運転プログラムでは早朝から深夜までの時間軸に沿った演出を施している等、これまでのジオラマに比べ趣向を凝らした展示となっています。が、やはり大人が見ると、「おー、電車が動いてる動いてる、山間部を通過してるー」と思うくらい。一番興奮していたのは、やはり一番前の席に座っているキッズ達でした。しかもプログラム前には、係りのお兄さんに「騒がない、終わるまで静かに座っている。約束できるかなー?」「はーい!」と元気よく挨拶していたのに、プログラム開始5分くらいで感動の感嘆。そして動く模型を追って場内を駆けずり回り。まぁそれくらいは予想できていたし思ったより静かでしたので気にも止めませんでしたが……。
ラーニングホールやミニ運転列車は、子供向けの体験コーナー。特にラーニングホールは国立科学博物館の実験スペースの鉄道版といったところでしょうか。何故鉄のレールに走らせているのか、何故カーブを走れるのか、ブレーキをかけるポイント、等々。
というわけで、大人だけでも楽しめるところも確かにありますが、大半はやはり子供向けの展示や企画が多く占めていました。
しかし前述の通り、特に1階のヒストリーゾーンは実物の車輌を展示しているので、死角と迷路になっています。それぞれ鑑賞のペースがありますから、あっという間に仲間とはぐれてしまうでしょう。予め、待ち合わせ場所を決めた方がよさそうです。
それでも、全館見て回るのに2時間~2時間30分。体験コーナーに触れると、3時間は余裕で越えるでしょう。それだけ、沢山の車輌や部品、そして技術によって、日本の鉄道が支えられてきた、というわけですな。
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