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2024/03/19 11:43 |
[Review] 俺は、君のためにこそ死ににいく
俺は、君のためにこそ死ににいくこの作品を鑑賞したこの日は、5月の第2日曜日。母の日。
いつもいつも優しく温かく見守ってくれるお母さん。カーネーションを添えて、「ありがとう」の気持ちを伝える日。
日常の生活の中に埋もれがちで、普段は気づかず通り過ぎてしまうけれど、今日この日を平凡に、そして幸せに暮らしていけるのは、紛れも無く家族の、特にお父さんお母さんの支えがあったから。そして、家族に、お母さんに感謝の気持ちを伝えることが出来るのも、穏やかな毎日を送ることが出来るから。

家族と共に過ごすことが出来る。それがどんなに幸せなことなのか。それを忘れてはならない。若くして親元を離れ、家族の愛もほとんど実感出来ず、年端も行かぬうちに戦場に散っていった彼等を、これから生まれる人たちが、穏やかに、家族と共に幸せに暮らせる世界を作るを願いながら死んでいった彼等を、忘れてはならない。


歴史とは非常に残酷なものです。
終戦から60年以上経過した現在。日本史の教科書をはじめとして、歴史書を紐解けば当時の時代背景や情勢、色々な資料を目の当たりに出来ます。だからといって、大東亜戦争の敗戦を拭い去ることは出来ない。無かったことにすることも出来ない。
それゆえに、戦争を題材とした映画は、どれを取り上げても『プロパガンダ』とか『戦争賛辞』の意見が飛び交って止みません。これからも、きっとそうなのでしょう。作り手としてはその意図は無くても、観る側の観方によってそう受け取ってしまうのは、それもそれで一つの意見です。が、多少脚色しているとはいえ、極力『ありのままの事実を描いたもの』として観る一方で、ただの戦争映画ではなく『戦争の一コマを通じて、何を伝えようとしているのか』を感じ取ろうと努力して鑑賞しています(あくまで『Cyber個人』の視点ですのでご承知おきを)。
例えば、沖縄特攻作戦に赴いた男達の覚悟と生き様を描いた『男たちの大和/YAMATO』では、「『死ぬ』、そして『生きる』ための覚悟」。最も血みどろで日米双方とも多大な死者を出した硫黄島合戦を描いた『硫黄島からの手紙』では、「最善を尽くし、己の信じる道を突き進む」。そして、『俺は、君のためにこそ死ににいく』は、「家族の、特に母親の愛」ではないでしょうか。血が繋がっていようといない、明日死ぬかもしれない、青春の真っ只中なのに時代に翻弄された若者達。そんな彼らに対し、精一杯自分が出来る限りの無償を愛を与え、そして分かち合う。これが、この作品の伝えたいことではないかと感じました。

鳥濱トメさんが切り盛りする食堂にやってくる子供たちは、長くても数ヶ月、短ければほんの数日の間にいなくなっていく子供たち。近くの村々から来る者。遥か遠くから来る者。果ては違う民族の者までが集い、目前の死に戦々恐々としていた。
この子達はこの先、どんなに手を伸ばそうとも、永遠に幸せを掴むことが出来ない。自ら志願した結果であっても、国に翻弄された結末であっても。
鳥濱トメさんご自身も、それまでに非常に辛い生活を送られてきたそうです。だからこそ、同じように辛い青春時代を生きてきた子供たちに共感できるところがあったのでしょう。それでもまだ彼女は自分が恵まれていると思ったに違いありません。だって彼等の生命の終わりは、もう目前なのだから。

私が彼等にしてやれることなんて、何も無いに等しい。でもせめて、不幸なままに散らせたくない。ほんのわずかでもいい。彼等の『母親』として、精一杯何かしてあげなければ     

出撃直前、何人かの隊員の家族が見送りに飛行場まで行きましたが、ほとんどの隊員は、最期の最期にご家族の顔を見ることも無く、大空を舞い、そして散っていったのでしょう。彼等にとって、鳥濱トメさんは、本当に最後の心の支えだった。
そして同時に、鳥濱トメさんも、一瞬でも実の息子達ができたようで、本当に嬉しかったのではないのでしょうか。見ず知らずのおばさんなのに、足しげく食堂に通って、ご飯を食べながら話をしたり聞いたり。彼女もまた、色んな出会いの中で、多くの喜びを得たんだと思います。


たとえほんの僅かな出会いの中でも、無償の愛で彼等に手を差し伸べ、抱きとめる精神。彼等が散った後でも、彼等の分まで、精一杯生きよう、生き抜こうという志。
時代は変わっても、混沌とした社会の中でも、彼女の心は一貫として変わらなかった。これは、いつまでも語り継いでいってほしい、『母親としての無償の愛』を、描いている作品だと思います。

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2007/05/13 12:22 | Comments(0) | TrackBack() | Review - Movie

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