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2024/04/19 04:42 |
[Review] ブラック・ダリア
ブラック・ダリアエリザベス・ショート。享年22歳。

1947年1月15日、ロサンゼルス郊外において惨殺死体で発見。両頬が口から耳にかけて引き裂かれ、身体中のいたるところに暴行を加えられた無数の傷跡。白い肌が更に冴え渡るように血が抜かれ、そして、腰の部分で真っ二つに切断されていた。
最も鮮明に記憶に焼き付けられる、最も惨たらしい死体。ハリウッド女優を夢見、漆黒の髪に彼女が好んだ黒い服装から、『ブラック・ダリア』と呼ばれた彼女に襲い掛かった殺人事件。未だ、解決はされていない     



犯罪小説家、ジェイムズ・エルロイが、実際に事件を元に独自の着想を取り入れて書いた小説の映画。僅かに残った痕跡を頼りに、光の無い闇の中を手探りで這いずるように事件の真相を解明していくミステリー。それと同時に、人間が内面に持つどす黒い魔性を引きずり出したフィルム・ノワール。

人を狂気に陥れる毒に満ちた甘い香りを漂わせる物語は、一部のコアなファンにとっては魅力的な映画なんでしょうけれど、如何せん複雑すぎてややこしい


そもそも、ジェイムズ・エルロイの小説がそうなのかもしれませんが(未読なもので…)、タイトルである『ブラック・ダリア』事件が主軸になっていないんです。勿論、この事件が引き金になって、主人公やそれを取り巻く周囲で起こった事象の『裏の顔』を垣間見る事が出来るのですが、色々なところに場面が移る、のではなく、文字通り『飛び火』して、収集がつかなくなってしまっているのです。

勿論、実際の『ブラック・ダリア事件』では、(殆どの意味で解決していますけれど)実際のところは未解決。この映画はきちんと解決します。が、ラストシーンで様々なところに散りばめられた複線が一気に収束するものの、「い、いつの間に!?」という感じが。
それもそのはず。この映画のミステリーを解くためには、映画に登場する場面や台詞だけでなく、登場人物の『表情』をも注意深く見ていかなくてはならないから。細かすぎて追っていけない部分があります。
あらゆるところに散りばめられた複線が、一気に一つに収束される様は、『マイノリティ・リポート』に似たようなところですが、この映画は軸が複数あるので、どれに焦点を当てたらいいのか分からなくなってしまうと思うのです。パンフレットの解説文を見ながら、思い返してみてようやく理解できた、というような……

でも、多分この映画は、それが前提なんでしょうね。
ただ単に一回観たっきりでは分からない。一度観て、ざっくりでも事件の概要を把握した上で二回目、三回目を観れば、この映画のミステリーの真の深みを味わう事が出来るのでしょう。


R-15指定の映画でしたけれど、性交のシーンや惨たらしい死体のシーンは思ったより抑えられていたので、個人的にはちょっぴりガッカリ(←何を期待してるオイ)。
なので、単純に映像としての美しさや、フィルム・ノワールの耽美と狂気が満ち溢れた世界観を堪能するだけでもいいでしょう。

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2006/10/15 22:39 | Comments(1) | TrackBack() | Review - Movie

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コメント

改めて伺いました<(_ _*)X(*_ _)>
確かにリーフレットには「若きふたりの刑事の云々」と書かれているのですが、
じゃあタイトルは?という映画でした(苦笑)。

>軸が複数あるので、どれに焦点を当てたらいいのか分からなくなってしまう
おっしゃるとおりだと思います。
単なる推理ものではなく人間に焦点を当てていたんですね。
実際のところ「ブラック・ダリア事件」よりもバッキー絡みの方が私は面白かったです。
これから原作本を読むので、読後はまた見方が違ってくるのかもしれませんが・・・。
posted by sannkenekoURLat 2006/10/17 20:15 [ コメントを修正する ]
Re:コメントありがとうございました
ご来訪・コメント有難うございます。

改めてストーリーを思い返して、散りばめられた無数の手がかりを辿ってみると、確かにミステリーとして組み立てられます。が、それに気づくためにはよほどの注意力が必要な気が(笑)。それこそ、『映画』という『エンターテインメント』を一歩脇に置いて考えるくらいに。
そういう意味では、sannkenekoさんの仰る『人間の関係』を焦点に観れば、それはそれでまた別の作品に映えるのかもしれませんね。

後付けで考えれば、何気に深みのある作品ですね…
初見ではきっと分かりづらいです。 orz
2006/10/17 22:40

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